退職金の3つのメリット

退職金という経費は税制上、非常に優遇されています。退職金のメリットは「退職所得控除」「1/2課税」「分離課税」の3点です。

●退職金にかかる税金は抑えられる

退職所得控除は「給与所得控除」のように、無条件で所得を控除することができる制度です。退職所得控除は勤続年数により算定され、勤続年数20年以下の場合は「40万円×年数」、20年超の場合は、「800 万円(40万円×20年)+70万円×20年超の年数」となります(1年未満の端数は切り上げて1年とします)。例えば、勤続30年の場合、「800万円+70万円×10年=1500万円」も控除することかできます。この場合、退職金が1500万円以下であれば、全額控除となり、税金は1円もかかりません。
退職所得控除だけでも結構な金額になりますが、さらに控除後の金額に1/2を乗じた金額が課税対象額となります。従って、先の事例で退職金が2000万円とした場合、「2000万円ー1500万円=500万円」の1/2である250万円が課税対象額となります。
最後に分離課税です。分離課税の場合は、分離課税単独で税計算を行うので、給与所得等に加算されません。所得税は超過累進税率が適用されるので、所得が高くなると税率も高くなるのですが、退職所得は別に計算をするので悪戯に税率が高くなることがありません。
少し難しい部分もあるので、簡単な事例
で検証してみましょう。
3000万円の収入に対し、税額は約100万円となります。実効税率はわずか3.3%です。ここまで低い税率が適用されるのは退職所得以外にありません。なお仮に3000万円を給与所得で受け取った場合の所得税額は約830万円となり、700万円以上の節税効果があります。
退職所得にかかる税額は相当少なくなるので、毎月の役員報酬を少し下げて退職金で受け取るようにすれば、個人の手取り金額を最大化することが可能になります。

●役員退職金には一定の制限がある

退職金は税制の優遇がかなりあり、役員報酬で取るよりも退職金で取ったほうが得なので、退職所得の恩恵を受けるための調整をすることが考えられます。その対策として、課税当局では役員退職金に対して一定の制限を設けています(勤続5年以下の従業員の場合にも定の制限があります)。
1つ目は、短い勤続年数の場合の制限です。2013年以降、役員としての勤続年数が5年以下の場合は、退職所得の金額の計算において、1/2を乗じることかできなくなりました。短期間の勤続年数でも1/2とすることを許してしまうと、会社を作って短期間で清算し退職金を得、また会社をつくって……というスキームかまかり通ってしまうためです。
2つ目は、不相当に高額な金額の場合、税務否認される制度です。例えば、退職直前の役員報酬が10万円、退職金が1億円といったように、月額報酬と退職金に著しい乖離があるような場合は注意が必要です。仮に税務否認された場合、その否認金額は役員賞与として全額損金不算入となってしまうので、全く意味のないものとなってしまいます。税務否認されないためには、次の算式で計算した金額の範囲内としておくのがよいでしょう。もちろん、実態によって否認されるケースもありますが、ひとつの指標にはなるので、頭に入れておいてください。
役員退職金は、一般的に「最終役職報酬月額×役員在任期間×功績倍率」で計算
されます。
このなかの功績倍率には、何か決まった倍率があるというわけではなく、退職する役員の在籍中の貢献度を考慮し何倍にするかを決めることになります。例えば、代表取締役は3倍、専務取締役は2.5倍、常務取締役は2倍といったように決定していきます。もちろん、あまりに高率になっていると税務否認される可能性が高くなりますが、この例で表示した程度の倍率であれば、税務否認される可能性は低いでしょう。また、この記算式で
計算した結果が、同業他社の役員退職金と同程度であればよいのですが、突出して高いような場合は、高いことについての理由付けが必要となります。

最後に、役員退職金の算式や功績倍率を決定したら、役員退職金規程を作成しておくと、より客観性が増してよいでしょう。

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  • 適格請求書(インボイス)とは
    売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
    具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
  • インボイス制度とは
    <売手側>
     売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    <買手側>
     買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    ※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

■参考書籍■
【新版】本当使える節税の本(社長、そんな節税ではあとがコワイです!)
冨田健太郎/葛西安寿 箸
株式会社自由国民社 発行

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営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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