法人にするメリット

起業に際して「法人化」することには多くのメリットがあります。以下、特にご提示いただいた各観点に沿って、法人化の利点を詳しく解説し、そのほかのポイントについてもご紹介します。

  1. 社会的信用度の向上
    • 株式会社や合同会社などの法人は、個人事業に比べて社会的信用が高く評価されやすいです。
    • 銀行からの融資、取引先との契約、リース契約などにおいて法人の方が有利です。
    • 法人登記や法人番号があることで、しっかりとした事業体として認識されます。
  2. 赤字の繰越控除(損失の繰越)
    • 法人では最大10年間の赤字繰越が可能(※青色申告が前提)。
    • 個人事業では赤字繰越は最長3年で、適用条件も厳しめです。
    • 長期的な事業計画を立てる上で、法人の方が税務上の恩恵が大きいです。
  3. 経営者に給与支給(役員報酬)
    • 法人は社長(経営者)に対して「役員報酬」を支払えます。
    • この報酬は法人の経費に計上できるため、課税所得を減らせます。
    • ただし、金額の設定や変更には一定のルールがあり、税務的な注意が必要です。
  4. 家族に給与支給
    • 家族を役員や従業員として雇えば、給与を支払うことができます。
    • 支払った給与は法人の損金(経費)として認められます。
    • 個人事業でも家族に給与を支払えますが、「専従者給与」の範囲に制限され、使い勝手は法人の方が柔軟です。
  5. 経営者の生命保険の活用
    • 法人で経営者名義の生命保険に加入すると、保険料の一部または全部が損金算入(経費)可能な場合があります。
    • 節税と将来的な退職金準備の両方の意味で活用されることが多いです。
  6. 役員社宅制度の活用
    • 経営者や役員の住居を法人名義で借り、「社宅」として提供できます。
    • 個人での家賃負担を抑えながら、法人の経費として計上できる仕組みです。
    • 家賃の一部は経営者の給与扱いになる場合もありますが、節税効果は高いです。
  7. 個人財産の保護(有限責任)
    • 法人は「有限責任」であるため、会社が負った借金や損失は、原則として経営者個人が責任を負いません。
    • 一方、個人事業では無限責任であり、事業の負債はすべて個人の資産で弁済することになります。
    • これは事業に伴うリスクを限定するうえで非常に重要です。
  8. 優秀な人材の確保
    • 法人の方が採用活動で有利です。雇用契約、社会保険加入、福利厚生などが整っているため、求職者にとって安心感があります。
    • また、将来的にストックオプションやインセンティブ設計を導入することも可能です。
●その他のメリット・ポイント
  1. 事業承継がしやすい
    • 法人は「資産と経営が分離」されているため、株式を譲渡することで事業をスムーズに承継できます。
    • 個人事業の場合は、名義や財産の移転が複雑で時間がかかります。
  2. 資金調達の手段が多様
    • 株式の発行や融資など、法人には資金調達の選択肢が多くあります。
    • ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などからの出資も法人でなければ受けられません。
  3. 法人税率のメリット
    • 所得が増えると個人の所得税は累進課税(最大45%)で非常に高くなる一方、法人は中小企業向けの軽減税率(15~23.2%)があります。
    • 利益が多く出るようになったタイミングで法人化すると、トータルの税負担が軽くなる可能性があります。
●法人化のタイミングと注意点
  • 最初から法人化する場合もありますが、ある程度売上・利益の見通しが立ってからの方が効率的なケースもあります。

  • 法人化には、設立費用(合同会社:約6~7万円、株式会社:約20万円)、登記手続き、定款作成、税務申告などの事務負担も増えます。

  • 社会保険加入が義務(法人は常に)となるため、保険料負担も考慮が必要です。

■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行

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定額減税と確定申告

令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。

  • 定額減税の対象となる方
    定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
    (注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。
  • 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
    特別控除の額は、次の金額の合計額です。
    ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
 所得税個人住民税
本人分3万円1万円
同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円1人につき1万円

詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。

●定額減税の実施方法

特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。

  1. 給与所得者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
    また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    1. 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
    2. 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
    3. 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
      • 給与所得以外の所得があるとき
      • 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
      • 2か所以上から給与の支払を受けているとき
  2. 公的年金等の受給者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    ※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
    (注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)
    1. 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
    2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
      (注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

      (注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。

      (注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。

      (注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。

  3. 事業所得者等に係る特別控除
    原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
    予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
    なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
    また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
    (注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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