事務所選びのチェックポイント

起業に際して事務所を選ぶことは、業務の効率性や信用力に大きく関わる重要なポイントです。以下に「外部に事務所を借りる場合」と「自宅兼事務所にする場合」に分けて、それぞれの選定基準や注意点を解説します。

●事務所を借りる場合の選定ポイント
  1. 立地・アクセス
    • ターゲット顧客に近いか:来客がある業種(士業・コンサル・美容・飲食など)は顧客の利便性が重要。
    • 最寄駅からの距離:徒歩5分以内が望ましい。
    • 周囲の環境:治安や周辺の雰囲気も事業のイメージに影響。
  2. コスト
    • 家賃と共益費:月額固定費なので、事業計画とキャッシュフローに見合った金額に。
    • 敷金・礼金・保証金:初期費用の総額に注意。
    • 更新料や契約年数:途中解約のペナルティなどもチェック。
  3. 設備と条件
    • インターネット・電話回線の有無:IT系業種では必須。
    • エアコンや照明の有無・状態:居抜き物件かどうかも含めて確認。
    • トイレ・水回りの清潔さや共有の可否。
  4. ビルや建物の信用力
    • 登記可能かどうか:商業登記ができる物件であること。
    • 建物の築年数・管理状況:古すぎると信頼性に影響する場合も。
    • 他の入居者の業種:静かな業務環境が必要なら業種のミスマッチに注意。
  5. 将来の拡張性
    • 事業が成長したときに、フロアを広げられるか。
    • 他の拠点とのアクセス性なども長期視点で考える。
●自宅兼事務所にする場合の考慮点
  1. 法的・契約上の制限
    • 賃貸の場合、事業利用可能か?
       →賃貸契約書で「住居専用」となっていないか確認。
    • 管理組合の規約(マンションの場合)や近隣住民とのトラブル防止策も重要。
  2. 商業登記の可否
    • 自宅住所で法人登記ができるか?(可能だが、マンションによっては禁止の場合も)
  3. プライバシーと信用の問題
    • 名刺やHPに自宅住所を記載することになる
       →家族の安全や個人情報保護の観点から注意。
    • 来客対応がある場合は設備やスペース確保が課題に。
  4. 税務上の取り扱い
    • 家賃や光熱費を「按分」して経費計上することが可能。
       →専有面積や使用時間に応じて合理的な按分が必要。
    • 住宅ローン控除との両立不可の可能性もあるため、税理士に相談。
  5. 生活との切り分け
    • 生活空間と仕事空間を明確に分けることで集中力と効率性を確保。
    • 家族と同居している場合、業務への干渉を最小限に抑える工夫が必要。

もし起業初期で資金が限られている場合は、自宅兼事務所+バーチャルオフィスの併用も有効です。必要に応じて将来的に事務所を移転する選択も視野に入れると良いでしょう。

■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行

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定額減税と確定申告

令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。

  • 定額減税の対象となる方
    定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
    (注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。
  • 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
    特別控除の額は、次の金額の合計額です。
    ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
 所得税個人住民税
本人分3万円1万円
同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円1人につき1万円

詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。

●定額減税の実施方法

特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。

  1. 給与所得者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
    また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    1. 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
    2. 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
    3. 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
      • 給与所得以外の所得があるとき
      • 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
      • 2か所以上から給与の支払を受けているとき
  2. 公的年金等の受給者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    ※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
    (注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)
    1. 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
    2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
      (注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

      (注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。

      (注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。

      (注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。

  3. 事業所得者等に係る特別控除
    原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
    予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
    なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
    また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
    (注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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