起業時において「会社の目的(事業内容)」の記載は、定款および登記申請において非常に重要な項目です。不適切に記載すると、後の許認可取得や取引先との信用にも影響するため、以下の観点と情報を元に丁寧に記載・確認しましょう。
ポイント | 解説 |
---|---|
将来の事業展開も見据える | 現在の事業に加え、将来的に行う可能性のある事業も含めて広く記載。追加変更には登記費用・手続きがかかります。 |
具体的かつ包括的に書く | 「インターネット事業」だけでなく、「ウェブサイトの企画・制作及び運営」など、具体的に表現。曖昧だと許認可で問題になることも。 |
形式は箇条書きで複数記載可 | 「第〇条 目的」の中に複数の事業目的を記載します。順番の優先順位は重要ではありませんが、主たる事業を上位に書くのが一般的。 |
目的の用語は行政書士や司法書士に相談可 | 一部業種では法律用語に準拠した記載が必要。許認可の審査に通る表現が求められます。 |
▼目的記載例
第3条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
- ウェブサイトの企画、設計、開発、運営及び保守業務
- インターネットを利用した各種情報提供サービス業
- ソフトウェアの開発、販売、保守
- 広告業及び広告代理店業
- 前各号に附帯関連する一切の業務
業種名 | 必要な許可・届出 | 担当窓口 | 種別 |
---|---|---|---|
建設業 | 建設業許可(一般・特定) | 都道府県・国土交通省 | 許可 |
宅地建物取引業 | 宅地建物取引業免許 | 都道府県・国土交通省 | 免許 |
産業廃棄物処理業 | 産業廃棄物収集運搬業許可/処分業許可 | 都道府県・政令市 | 許可 |
美容業 | 美容所開設届出 | 保健所 | 届出 |
理容業 | 理容所開設届出 | 保健所 | 届出 |
飲食店業 | 飲食店営業許可 | 保健所 | 許可 |
職業紹介業 | 有料職業紹介事業許可 | 厚生労働省 | 許可 |
旅館業 | 旅館業営業許可 | 保健所 | 許可 |
クリーニング業 | クリーニング所開設届出 | 保健所 | 届出 |
貸金業 | 貸金業登録 | 財務局または都道府県 | 登録 |
風俗営業 | 風俗営業許可(風営法) | 所轄警察署→公安委員会 | 許可 |
米穀類販売業 | 特になし(※自主申告制) | 市区町村 | 登録 |
酒類販売業 | 酒類販売業免許 | 税務署 | 免許 |
薬局 | 薬局開設許可 | 都道府県 | 許可 |
医薬品販売業 | 医薬品販売業許可 | 都道府県 | 許可 |
中古品販売業 | 古物営業許可 | 警察署→公安委員会 | 許可 |
乳類販売業 | 乳類販売業許可 | 保健所 | 許可 |
食肉販売業 | 食肉販売業許可 | 保健所 | 許可 |
魚介類販売業 | 魚介類販売業許可 | 保健所 | 許可 |
▼補足事項
- 業種ごとに設置基準や管理者資格の有無も異なります。
- 例)薬局は「薬剤師」、理容・美容所は「有資格者の常駐」が必要。
- 風俗営業や旅館業などは、周辺施設との距離規制など「立地制限」が厳しい業種です。
- 酒類販売や職業紹介など一部業種では、事業目的に「適切な文言」がないと許可されないことがあるため、登記前に行政に確認または専門家に相談するのが安全です。
▼事業目的記載例(例:目的の一部)
- 建設工事の設計、施工および請負
- 宅地建物取引業
- 産業廃棄物の収集、運搬および処分業務
- 美容業および理容業の経営
- 飲食店の経営およびフランチャイズ展開
- 職業紹介および人材派遣業
- 旅館、簡易宿所、民泊施設の運営
- クリーニング業務
- 貸金業
- 風俗営業法に基づく各種営業
- 米穀類、酒類、魚介類、乳類および食肉の販売
- 医薬品、医薬部外品の販売ならびに薬局経営
- 中古品(古物)の売買および輸出入
目的の中に許認可業務がある場合は、用語・業種を正確に記述
許可が必要な業種は、登記内容と許可申請が整合していないと却下されることがある
変更が想定される業種は「附帯業務」など柔軟な表現を加える
設立登記時に目的に含めなかった事業を後日行う場合
→ 定款変更・登記変更(要株主総会決議)が必要になることも登記されていない目的の業種は、許可申請の際に不備とされる可能性あり
■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
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定額減税と確定申告
令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。
- 定額減税の対象となる方
定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
(注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。 - 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
特別控除の額は、次の金額の合計額です。
ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
所得税 | 個人住民税 | |
本人分 | 3万円 | 1万円 |
同一生計配偶者又は扶養親族 | 1人につき3万円 | 1人につき1万円 |
詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。
特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。
- 給与所得者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。- 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
- 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
- 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
- 給与所得以外の所得があるとき
- 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
- 2か所以上から給与の支払を受けているとき
- 公的年金等の受給者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
(注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)- 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
(注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。(注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。
(注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。
(注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。
- 事業所得者等に係る特別控除
原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
(注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。