起業時の資金調達の順序

起業時に必要な資金には、大きく分けて「自己資金」「投資資金」「運転資金」があります。どの順序で調達し、どの勘定科目に充てるのかを理解しておくことで、資金繰りの失敗を防ぎ、安定した事業運営が可能になります。

●起業時の資金調達の基本的な順序
  1. 自己資金
    自己資金は最初に準備する資金です。金融機関からの信頼を得るためにも必須となります。
    • 勘定科目例:元入金・資本金(法人の場合)
    • 使い道:開業時の初期費用、保証金、開業準備費用など
  2. 投資資金
    店舗・設備・システムなどの初期投資に使う資金です。補助金や融資を活用して調達するのが一般的です。
    • 勘定科目例:建物、建物附属設備、機械装置、工具器具備品、ソフトウェア
    • 使い道:店舗取得費、内装工事、機械設備、システム導入、広告宣伝費など
  3. 運転資金
    事業を継続的に回すために必要な資金で、6か月〜1年分を確保するのが望ましいです。
    • 勘定科目例:仕入高、給与手当、地代家賃、水道光熱費、通信費、広告宣伝費
    • 使い道:仕入代金、給与・社会保険料、家賃、光熱費、広告宣伝など
●足りない資金の捻出方法

起業準備で資金が不足する場合には、外部の調達手段を組み合わせて資金繰りを安定させることが大切です。代表的な方法を以下にまとめます。

  1. 金融機関からの融資
    返済計画を立てやすく、起業資金の中心的な手段です。
    • 勘定科目例:借入金
    • 具体例:日本政策金融公庫の新創業融資制度、信用保証協会付き融資など
  2. 補助金・助成金
    返済不要の資金として活用でき、自己資金の負担を軽減します。
    • 勘定科目例:雑収入(受給時)
    • 具体例:創業補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金など
  3. 出資・投資
    返済義務がなく、成長に応じて支援を受けられる資金です。
    • 勘定科目例:資本金、資本準備金
    • 具体例:ベンチャーキャピタル、エンジェル投資家、クラウドファンディング
  4. 親族・知人からの借入
    信頼関係に基づいた柔軟な調達手段ですが、契約書を交わしておくことが重要です。
    • 勘定科目例:借入金(親族借入金など明細管理)
    • 具体例:親や親戚からの資金援助、知人からの貸付
●まとめ(資金調達の流れイメージ)
  1. 自己資金で基盤をつくる

  2. 投資資金は融資や補助金を活用

  3. 運転資金は余裕を持って確保

  4. 不足分は融資・補助金・出資・クラファンで補う

■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
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定額減税と確定申告

令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。

  • 定額減税の対象となる方
    定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
    (注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。
  • 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
    特別控除の額は、次の金額の合計額です。
    ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
 所得税個人住民税
本人分3万円1万円
同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円1人につき1万円

詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。

●定額減税の実施方法

特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。

  1. 給与所得者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
    また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    1. 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
    2. 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
    3. 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
      • 給与所得以外の所得があるとき
      • 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
      • 2か所以上から給与の支払を受けているとき
  2. 公的年金等の受給者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    ※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
    (注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)
    1. 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
    2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
      (注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

      (注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。

      (注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。

      (注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。

  3. 事業所得者等に係る特別控除
    原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
    予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
    なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
    また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
    (注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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