帳薄の残高を確認する

決算日を迎えたら、現金や預金、売上、仕入などの日常取引の入力を早めに済ませ、残高の確認作業に取りかかりましょう。残高の確認作業は、合計残高試算表をもとに行います。
合計残高試算表の各勘定科目の期末残高が実際の残高と一致しているか、通帳等の残高と照合し確認をします。なお補助科目を設定している勘定科目については、補助科目残高一覧表を基にチェックを行います。残高確認の具体的なやり方を勘定科目ごとに説明しましょう。

●現金
現金の残高は決算日に金庫にある紙幣や硬貨を実際に数えて確認します。確認するにあたっては、「現金残高確認表」を作成すると良いでしょう。郵便小為替、他人振出の小切手がある場合は、別途明細書を作成しておきましょう。経理担当者がいる会社では、日々現金残高の確認を行っていることでしょうが、社長さんが1人でやっている会社では、おざなりになりがちです。決算日ぐらいはしつかりと現金残高を確認し、新年度をスタートさせましょう。

●普通預金
普通預金の残高は、預金通帳の残高と一致しているか確認します。口座ごとに補助科目を設定してあれば、補助科目の残高=預金通帳の残高となりますので、簡単に確認できると思います。普段使っていない預金通帳も、必ず記帳するようにしましょう。預金利息が付いていたり、手数料などが引き落とされていたりする場合があります。また念のため、銀行から残高証明書の発行をしてもらうと、より確実に残高を確認することができます。発行に数百円の手数料がかかりますが、不正経理などが行われることを未然に防ぐことができます。定期預金や積立預金についても、普通預金と同様の方法で残高を確認します。

●売掛金
売掛金は、補助科目残高一覧表の残高について、いつ請求した分なのか、きちんと入金される金額なのか、個別に確認します。下の補助科目残高一覧表で、残高の確認をしてみましょう。

補助科目前残借方貸方残高
売掛金    
山田商店15,8009,80015,8009,800
東京商店48,00032,00020,00060,000
大阪商店33,50022,50033,50022,500
97,30064,30069,30092,300

山田商店の残高は9,800円です。3月の借方(売上)の金額と一致しています。3月分の売上が残高としてあるので、問題ないと判断できます。大阪商店も同様です。
東京商店については、3月の借方(売上)の金額と残高が一致していません。残高の6万円がいつ請求した金額なのか、得意先元帳や請求書で確認をする必要があります。仮に取引条件が末締めの翌々月払いで、2月の売上が28,000円と3月の売上が32,000円あるとしましょう。
この場合には、2月と3月の請求額の合計額が残高の金額と一致します。したがって残高には問題がない、このように判断できます。
残高の金額が確認できない場合は、経理処理の誤りがあった可能性があります。当社が負担する振込手数料の消し込みや値引きを計上し忘れているケースが多くみられます。過去の入力内容を確認してください。

●買掛金・預り金
売掛金と同じ要領で、補助科目一覧表をもとに残高の確認をします。買掛金については、いつ請求された分なのか、いつ支払う分なのか、個別に確認します。預り金については、いつ預かった分なのか、いつ支払う分なのか、個別に確認します。

●借入金
借入金の残高は返済一覧表の残高と一致しているか確認をします。預金と同様に銀行に残高証明書を発行してもらうと、より確実に残高を確認することができます。

●その他の勘定科目
その他の資産と負債の勘定科目についても、同じ要領で残高の確認をします。収益と費用の勘定科目については、科目間違えや消費税の課非判定の誤りがないか確認をします。

当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
実際会計ソフトを導入された方のほとんどが、ソフトを導入して良かったとおっしゃっています。

改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

お問合せ・ご相談はこちらからどうぞ

045-869-0337

営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》

この記事を書いた人