減価償却の計算⑤

●税法上の繰延資産(礼金など)の償却の計算方法

税法上の繰延資産とは、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものをいいます。有形固定資産は「実物」として存在するので直感的に資産であると認識できるのですが、税法上の繰延資産は「概念上の存在」で一般常識では資産と考えられないものが多いので注意しましょう。
例えば30万円の礼金を支払った期に費用処理してしまったとしましょう。税法上その期に費用計上できるのは、償却費の金額までです。つまり償却費を超える部分の金額は、資産に計上すべきものを誤って費用計上したことになります。税務署の調査が入れば追徴課税の対象となってしまうのです。
主な税法上の繰延資産は次のとおりです。勘定科目は、長期前払費用を使用します。

項目償却年数
礼金・更新料5年
礼金・更新料で賃借期間が5年未満で更新料の支払が必要な場合賃借期間
同業者団体の加盟金5年
チェーン店の加盟金原則として5年
ノーハウの頭金原則として5年
電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用その機器の耐用年数の7/10に相当する年数

償却費は、支出額を償却月数で割り、その年の月数をかけて計算します。
「2月5日に60万円の礼金(賃借期間5年)を支払った(決算月は3月とする)」とい
う事例をもとに減価償却費の計算方法について具体的に説明します。

  • 1年目
    支出額×月数÷60月→600,000×2÷60=20,000
  • 2年目
    支出額×12÷60月→600,000×12÷60=120,000
  • 3年目
    支出額×12÷60月→600,000×12÷60=120,000

以後同様に続く。償却累計額が支出額の18%に達するまで毎年償却をする。

●リース資産の減価償却の計算方法

リースの取引について「リースを売買と考える経理処理」をした場合、定額法と同様の方法でリース総額をリース期間にわたり均等に償却します。専門用語でリース期間定額法といい、減価償却費を求める算式は次のとおりです。

リース総額×その期のリース月数÷リース期間の月数

それでは「2月5日にコピー機を月額リース料31,500円、リース期間5年で導入した場合」という事例をもとに1年目から順次、減価償却費を計算していきましょう。
リース総額:31,500×12×5年=1,890,000
リース期間の月数:12×5=60年

  • 1年 目
    1,890,000×2÷60=63,000
    ※1ヶ月未満の端数は切り上げになります。有形減価償却資産の場合と同じ処理です。
  • 2年目
    1,890,000×12÷60=378,000
  • 3年目
    1,890,000×12÷60=378,000

以後同様に続き、償却累計額がリース総額の100%に達するまで償却を行います。なお有形固定資産の場合は1円の備忘価額を残す必要がありましたが、リース資産の場合は残す必要はありません。

●減価償却費の仕訳

減価償却費の仕訳には、備品勘定などから直接減額する方法と減価償却累計額という勘定科目を使って間接的に減額する方法があります。有形固定資産では間接的に減額する方法が正式なやり方ですが、中小企業の場合、手間がかからない直接減額する方式が一般的に用いられています。無形固定資産と税法上の繰延資産は直接減額する方法で仕訳をします。

▼資産勘定から直接減額する方法

(借方)減価償却費:xxxx(貸方)備品勘定など:xxxx

▼間接的に減額する方法

(借方)減価償却費:xxxx(貸方)減価償却累計額:xxxx

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  • 適格請求書(インボイス)とは
    売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
    具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
  • インボイス制度とは
    <売手側>
     売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    <買手側>
     買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    ※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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