「2月5日に15万円でパソコンを購入した(決算月は3月とする)」という事例をもとに各償却方法について説明します。
計算式は旧定率法と同様ですが、次の点が異なっていますので注意してください。
- 耐用年数の期間内に全額を償却できるようにするため償却保証額の制度が設けられました。
- 償却費が計上できるのは取得価額の95%までという規定が廃止され、1円の備忘価額まで償却できるようになりました。
償却保証額は、取得価額に耐用年数に応じて定められている保証率を乗じた金額です。
償却保証額=取得価額×保証率
保証率一覧から4年の耐用年数に対応する保証率は「0.05274」となっています。償却保証額を計算してみましょう。
150,000円×0.05274=7,911円
各年において償却額と償却保証額を比較し、償却額が償却保証額を下回れば、改定償却率を用いて償却費を計算することになります。この償却保証額の制度は大変わかりにくいので、計算例の中でその仕組みを説明することにします。
償却率一覧表(改正後の定率法)から4年の耐用年数に対応する償却率を調べると、償却率は「0.625」となっています。
それでは1年目から順次、減価償却費を計算していきます。
※計算例は平成23年12月改正前の率を適用しています。
- 1年目
150.000×0.625×2÷12=15.625 - 2年目
134.375×0.625=83.984
※ 「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」は150,000円から1年目の償却費15,625円を差し引いた金額(134,375円)です。なお償却費の金額が償却保証額を上回っている(83,984>7,911)ので償却保証額の制度は適用されません。 - 3年目
50,391×0 625=31,494
※ 「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」は150,000円から1年目の償却費15,625円と2年目の償却費83.984円を差し引いた金額(50,391円)です。なお償却費の金額が償却保証額を上回っている(31,494>7,911) ので償却保証額の制度は適用されません。 - 4年目
18,897×0.625 =11,810
※「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」は150,000円から1年目から3年目の償却費の累計額131,103円を差し引いた金額(18,897円)です。なお償却費の金額が償却保証額を上回っている(11,810>7,911)ので償却保証額の制度は適用されません。 - 5年目
7,087×0.625=4,429(償却保証制度適用前の償却額)
※「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」は150,000円から1年目から4年目までの償却費の累計額142,913円を差し引いた金額(7,087円)です。なおこの年で償却費の金額が償却保証額を下回りました(4,429>7,911)ので償却保証額の制度が適用されます。
償却保証額の制度が適用された場合の償却費は、この年の「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」(改定取得価額といいます)に改定償却率を乗ずることによって計算します。
償却保証額を下回った場合の計算式:改定取得価額×改定償却費率
4年の耐用年数に対応する改定償却率は「1.000」となっています。それでは5年目の償却費を計算してみましょう。
7,087×1=7,087円
ただしこの金額を償却費として計上すると備忘価額1円を残すことができません。そこで、そのための調整を行います。
7,087ー1=7,086円
結果として5年目の償却費は7,086円ということになります。
定額法は毎期一定の金額を償却していく方法です。建物は定率法が使えないので定額法を利用しますが、建物以外の資産で定額法が使われることはあまりありません。理由は次の通りです。
- 定率法のほうが早く償却費を計上することができる。
- 定額法を使うためには税務署に届出をしなければならない。
定額法は「取得価額」に償却率をかけて償却費の金額を計算します。定率法は「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」に償却率を乗じて計算しました。
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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始
令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
- 適格請求書(インボイス)とは
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。 - インボイス制度とは
<売手側>売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。<買手側>買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。
参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
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