減価償却の計算②

「2月5日に15万円でパソコンを購入した(決算月は3月とする)」という事例をもとに各償却方法について説明します。

▼耐用年数を調べる
減価償却費を計算するには、その資産を使用する期間を事前に決めておく必要があります。その期間が各期に費用配分をするための計算基礎にになるからです。
しかしその資産がこれからどのくらいの期間にわたり使われるのかを正確に推定するのは容易なことではありませんが、税法では資産の種頑、構造、用途の別に使用期間(耐用年数)を詳細に定め、画一的に取り扱うこととしています。
中小企業では、この税法の耐用年数にもとづき減価却の計算をするのが一般的です。
まずは事例のパソコンの耐用年数を調べてみましょう。パソコンの資産の種類は「器具及び備品」です。構造・用途は「事務機器、通信機器」です。細目は電子計算機です。パソコン(サーバー用を除く)に該当しますので耐用年数は4年ということになります。

▼定率法で減価償却費を計算する
定率法には、償却額がはじめに多く、そしてだんだんと少なくなっていくという特徴があります。つまり償却費が一定の定額法に比べ購入当初の償却費が多く、節税効果が期待できるのです。
また定率法は、税務上の原則的な償却方法とされているので、届出などの手続きをすることなく使うことができます。
これらのことから定率法は、中小企業において最も使われている償却方法になっています。ただし平成10年4月1日以降に取得した建物には、定率法を使用することができませんので注意してください。
計算方法は次のとおりです。「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」に償却率をかけて償却費の金額を求めるのがポイントです。

●旧定率法による減価償却費の計算

まずはから4年の耐用年数に対応する償却率を調べると償却率は「0.438」となっています。
定率法の計算式は次のとおりです。それでは「2月5日に15万円で購入したパソコン」について、1年目から順次、減価償却費を計算していきましょう。
▼計算式
取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額×償却率×使用月数÷12

  • 1年目
    150,000×0.438×2÷12=10,950
    ※使用月数は1ヶ月未満の端数を切り上げて求めることになっています。2月5日に購入し、決算日は3月31日であることから使用月数は2ヶ月になります。
  • 2年目
    139,050×0.438=60,903
    ※「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」は150,000から1年目の償却費10,950を差し引いた金額(139,050 円)です。
  • 3年目
    78,147×0.438=34,228
    ※「取得価額から前年までの償却累計額を差し引いた金額」は150,000円から1年目の償却費10,950円と2年目の償却費60,903 円を差し引いた金額(78,147円)です。
  • 4年目以降
    以後もこの要領で計算します。ただし償却費が計上できるのは取得価額の95%までです。この事例では142,500円(150,000円の95%)まで償却費を計上できるということになります。償却累計額が95%に達したら、そこで旧定率法の方式による償却を打ち切ります。
  • 償却累計額が95%に達した翌年以降
    未償却の金額は、償却累計額が95%に達 した翌年以降1円の備忘価額まで、5年間にわたり均等に償却していきます。
    この制度は平成19年の税制改正で新たに設けられました。なお、既に償却累計額が95%に達した資産についても平成19年4月1日以後に開始する事業年度からこの制度を適用し償却することができます。
    具体的には次の算式で計算します。
    (取得価額の5%の相当額-1円)×1/5
    この事例における各年の償却費の金額はい99円になります。
    (150000×5%-1)÷5=1,499円

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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