税金の金額を計算する

会社は、決算日の翌日から2ヶ月以内に、法人税、県民税、事業税、市民税、消費税の申告書を所轄の官庁に提出し、税金を納めなければなりません。
個人経営から法人経営に切り替えた方から、税金の申告書を自分で作成できますか、という質問を受けることがあります。個人の確定申告はそれほど難しくなく、青色申告会や商工会のような自分で申告する方をサポートする公的機関も充実しているので、自分で申告書を作成している方が大勢いらっしゃいます。
ところが会社の確定申告は、個人の確定申告よりも作成する書類が多く、また計算過程もたいへん複雑です。自分で作成するのは難しいので、決算調整が終わった段階で、税理士や公認会計士といった専門家に作成を依頼した方が良いでしょう。記帳が済んでいるので、それほど高くない報酬で依頼できると思います。
皆さんには、どんな税金を申告するのか、どのくらいかかるのかといった税金の概要をここで押さえていただきただきたいと思います。利益300万円、交際費の金額100万円の会社(資本金100万円)の税金を計算してみましょう。

●法人税の概要と税金の額

法人税は国に支払う税金です。税務署に申告と納付をします。法人税の課税対象になる利益は、決算書の利益ではありません。決算書上の利益に交際費課税など法人税独自の調整を加えたあとの金額です。交際費の金額が100万円の場合、課税対象になるのは、10万円です。この事例の法人税の課税対象となる金額(所得金額)は、310万円ということになります。
税 率 → 18%(所得金額800万円以下の場合)
計算式 → 所得金額×税率
税 額 → 3,100,000×18%=558,000円

●法人県民税(都道府県民税)の概要と税金の額

県民税は都道府県に支払う税金です。県税事務所などに申告や納付をします。地方税なので、都道府県によって税率が若干異なる場合があります。ここでは埼玉県の税率で計算をします。なお県民税には、資本金の金額などに応じてかかる均等割と法人税に対してかかる法人税割があります。均等割は赤字でも税金がかかりますので注意してください。
税 率 → 均等割2万円
法人税割 → 法人税額の5%
計算式 → 法人税額×税率+均等割
税 額 → 558,000×5%+20,000=47,900円

●法人市民税(法人市町村民税)の概要と税金の額

市民税は市町村に支払う税金です。市役所などに申告や納付をします。地方税なので、市町村によって税率が若干異なる場合があります。 こではさいたま市の税率で計算をします。なお県民税と同様に均等割があります。
税 率 → 均等割5万円
法人税割 → 法人税額の12.3%
計算式 → 法人税額×税率+均等割
税 額 → 558,000×12.3%+50,000=118,634 → 118,600円(百円未満切捨)

●法人事業税の概要と税金の額

法人事業税は都道府県に支払う税金です。法人県民税とともに県税事務所などに申告や納付をします。地方税なので、都道府県によって税率が若干異なる場合があります。
こでは埼玉県の税率で計算をします。なお事業税は、法人税や法人市県民税と異なり、法人税の所得金額の計算上、経費とすることができます。
※平成20年の税制改正で、事業税の一部が地方法人特別税に分離されましたが、税負担は変わりません。ここでは事業税として説明します。
税 率 → 5%
計算式 → 所得金額×税率
税 額 → 3,100,000×5%=155,000円
課税対象となる利益310万円に対して、法人税558,000円、法人県民税47,900円、法人市民税118,600円、事業税155,000円、合計で879,500円の税金が課税されることになります。利益に対して約28%です。以前に比べると安くなっているのですが、苦労して稼いだお金の約3分の1が消えてなくなるのですから、税金と聞いただけで、憂鬱な気持ちになる経営者も多いことと思います。気持ちはともかく、納めなくてはならないので、資金の手当てなどをして、備えておきましょう。
※事例の税率は、平成24年3月における所得金額310万円に対するものであることにご注意ください。税率は累進課税といって所得金額が多くなるほど税率が高くなります。また、改正も予定されています。詳しくは国税庁、県税事務所、市役所のホームページを参照してください。

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  • 適格請求書(インボイス)とは
    売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
    具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
  • インボイス制度とは
    <売手側>
     売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    <買手側>
     買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    ※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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