決算調整は、貸借対照表と損益計算書に表示される利益を「正しい利益」にするために行われます。「正しい利益」とは、収益と費用を会計の考え方に従って計上し、計算した利益のことをいいます。ここで決算調整の意味合いを理解していただくために、「会計の考え方」の基本について説明することにしましょう。
●発生主義の原則…費用は発生した時点で計上する
発生主義は費用を発生した時点で計上する、という考え方です。費用が発生した時点とは、取引が行われたとき、つまり仕入であれば商品が納品されたとき、電話代であれば電話を使ったときと理解すれば良いでしょう。
日頃の帳簿付けにおいて、支払いの時点で経理処理をしている場合や手付け金や前渡金を費用として経理処理している場合には、発生主義に直すための決算調整が必要になります。
●実現主義の原則…収益は実現した時点で計上する
実現主義は、収益が実現した時点で計上する、という考え方です。収益が実現した時点とは、取引が行われたとき、つまり商品を納品したときと理解すれば良いでしょう。
得意先に見積もりをしたときや注文を受けたときは、まだ商品が納品されていない(収益が実現していない)ので、実現主義の考え方により、売上の計上を行うことはできません。
●費用収益対応の原則…収益とそれに対応する費用は同じ期に計上する
事業年度ごとの利益を正しく表示するためには、収益とその収益に対応する費用は同じ年度に計上する必要がある、という考え方です。収益と費用の対応関係は、仕入など個別に対応関係を考えるものと、通信費や給料など期間で対応関係を考えるものがあります。
決算日の在庫商品の金額を資産に振り替える棚卸資産の調整や減価償却費の計上は、費用収益対応の原則を実現するために行われる決算調整です。
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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。
令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
- 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
そして - 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
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