損益計算書とは

会社設立や企業の資金調達を成功させるためには、損益計算書(P/L)の理解が不可欠です。損益計算書は、企業の収益性や経営状況を示す重要な資料であり、金融機関からの評価にも直結します。本記事では、損益計算書の基本的な見方と利益の種類、重要指標について、税理士の視点から分かりやすく解説します。

損益計算書の見かた
  • 損益計算書は、企業の一定期間における収益と費用を対比し、最終的な利益を把握するための書類です。上から順に利益が積み上がる構造となっており、企業の収益力や経営効率を読み解く基本資料となります。
  • 売上高から各種費用を差し引き、段階的に利益が算出されるため、どの段階で利益が減少しているかを把握することが重要です。金融機関や投資家もこの構造を重視して評価を行います。

▼税理士のアドバイス
損益計算書は単なる結果報告ではなく、改善のヒントが詰まった資料です。会社設立後の企業は、毎月の推移を確認し、どの費用が利益を圧迫しているのかを分析する習慣を持つことが重要です。資金調達の際にも、説明力が大きく変わります。

①売上総利益
  • 売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた利益で、「粗利」とも呼ばれます。商品やサービスそのものの収益力を示す重要な指標であり、企業のビジネスモデルの健全性を判断する基準となります。
  • 原価率が高すぎる場合は、仕入れや製造コストの見直しが必要です。逆に粗利が安定していれば、販売戦略の強化によって利益拡大が見込めるため、経営判断の基礎となります。

▼税理士のアドバイス
会社設立直後の企業は、売上よりも粗利率の確保を重視してください。価格設定が不適切だと、売上が増えても資金が残らない状態になります。金融機関も粗利率の推移を重視するため、継続的な改善が重要です。

②営業利益
  • 営業利益は、売上総利益から人件費や家賃、広告費などの販売費及び一般管理費を差し引いた利益です。本業による稼ぐ力を示す指標であり、企業の収益性を判断する上で最も重要とされます。
  • 営業利益が安定している企業は、本業がしっかりしていると評価されます。一方で赤字が続く場合は、固定費の見直しや事業モデルの再検討が必要となります。

▼税理士のアドバイス
企業の評価では営業利益が最も重視されます。会社設立後は、無理な広告投資や人件費の増加に注意し、固定費のコントロールを徹底しましょう。利益が出る体質づくりが資金調達成功の鍵となります。

③経常利益
  • 経常利益は、営業利益に営業外収益(受取利息など)を加え、営業外費用(支払利息など)を差し引いた利益です。企業の通常活動全体での収益力を示す指標となります。
  • 借入金が多い場合は支払利息が増加し、経常利益が圧迫されます。資金調達の方法や借入条件が、企業の利益に大きく影響する点に注意が必要です。

▼税理士のアドバイス
資金調達時には借入額だけでなく、返済負担と利息の影響を必ず確認してください。企業の経常利益が安定していれば、金融機関からの信用も高まり、追加融資の可能性も広がります。

④税引前当期純利益
  • 税引前当期純利益は、経常利益に特別利益や特別損失を加減した利益です。一時的な収益や損失を含むため、通常の経営成績とは分けて考える必要があります。
  • 資産売却や災害損失などが含まれるため、単年度の数字だけでなく継続的な推移を確認することが重要です。企業の実力を判断する際は注意が必要です。

▼税理士のアドバイス
一時的な利益で黒字になっても、本業の改善にはつながりません。会社設立後の企業は、税引前利益の内訳をしっかり把握し、継続的に利益を出せる体制づくりを意識しましょう。

⑤当期純利益
  • 当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等を差し引いた最終的な利益です。企業が実際に手元に残すことができる利益であり、内部留保や配当の原資となります。
  • 当期純利益が安定している企業は、財務基盤が強く、資金調達や投資判断においても有利になります。継続的な黒字経営が重要です。

▼税理士のアドバイス
利益が出た場合でも、すべて使わずに内部留保を確保しましょう。企業の信用力向上には、自己資本の蓄積が不可欠です。会社設立初期ほど、資金の使い方には慎重な判断が求められます。

損益計算書における重要指標
  • 代表的な指標として、売上高総利益率(粗利率)、営業利益率、経常利益率などがあります。これらは企業の収益性や効率性を示すもので、他社比較や経営改善に活用されます。
  • 数値の単年比較だけでなく、複数年での推移を見ることで、企業の成長性や課題を把握できます。金融機関もこの推移を重視して融資判断を行います。

▼税理士のアドバイス
重要指標は必ず定期的に確認し、目標値を設定しましょう。企業の成長には数値管理が不可欠です。会社設立後は、毎月の試算表を活用して早期に課題を発見することが重要です。

その他ポイント
  • 損益計算書は単独で見るのではなく、貸借対照表やキャッシュフローと合わせて分析することが重要です。利益が出ていても資金が不足するケースもあるため注意が必要です。
  • 特に資金調達を行う企業は、利益と資金繰りのバランスを意識する必要があります。黒字倒産を防ぐためにも、資金管理の徹底が求められます。

▼税理士のアドバイス
利益と資金は別物です。企業経営ではキャッシュフローの管理が最重要となります。会社設立時から資金繰り表を作成し、将来の資金不足を予測することが、安定経営への第一歩です。

■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行

当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
実際会計ソフトを導入された方のほとんどが、ソフトを導入して良かったとおっしゃっています。

定額減税と確定申告

令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。

  • 定額減税の対象となる方
    定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
    (注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。
  • 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
    特別控除の額は、次の金額の合計額です。
    ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
 所得税個人住民税
本人分3万円1万円
同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円1人につき1万円

詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。

●定額減税の実施方法

特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。

  1. 給与所得者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
    また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    1. 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
    2. 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
    3. 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
      • 給与所得以外の所得があるとき
      • 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
      • 2か所以上から給与の支払を受けているとき
  2. 公的年金等の受給者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    ※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
    (注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)
    1. 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
    2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
      (注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

      (注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。

      (注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。

      (注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。

  3. 事業所得者等に係る特別控除
    原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
    予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
    なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
    また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
    (注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

お問合せ・ご相談はこちらからどうぞ

045-869-0337

営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

この記事を書いた人