現金を支払う・受け取る

硬貨や紙幤などのお金は現金勘定を使用して経理処理をします。また郵便小為替(郵便局で販売している金券)や他人振り出しの小切手(得意先から集金した小切手)などもこの現金勘定で経理します。

●経理処理のポイント
現金は手提げ金庫などに保管し、出入りを現金出納帳に記帳します。現金出納帳の残高と実際の現金の残高が一致しているか確認するようにしましょう。残高は一致しなければいけませんが、釣り銭の間違えなどの理由により、過不足が生じる場合があります。
過不足の金額は、原因を徹底的に調べますが、それでも不明の場合は現金過不足として収益または費用として経理処理をします。実際の現金が帳簿残高より多かった場合は雑収入勘定、少なかった場合は雑損失勘定で経理処理をします。

▼実際の現金が100円多かった時の仕訳
借 方 貸 方
勘定科目 金 額 勘定科目 金 額
現金 100 雑収入 100
▼実際の現金が150円少なかった時の仕訳
借 方 貸 方
勘定科目 金 額 勘定科目 金 額
雑損出 150 現金 150

●消費税の税区分
現金の過不足にともなって発生する「雑収入」「雑損失」は、対象外の取引です。

●税務署はここをチェックする
税務署は実際の現金残高と帳簿の残高が一致しているかについて重大な関心を持っています。税務調査の現場では、金庫の現金を実際に数えて帳簿の残高と確認することも行われています。なぜ税務署が現金の残高に関心を持っているかというと、現金売上を除外する架空の領収書(もらってきた領収書など)を経費処理するなど、現金の出入りに関係する脱税の手口が多く見られるからです。 
小売りや飲食店等の現金商売を営んでいる会社は、税務署から疑われているという認識をもって現金の管理を行う必要があります。何も悪いことをしていないのに、管理がずさんなために脱税を疑われてしまうようなことにはなりたくないですね。

●こうすればもっと簡単に経理ができる
郵便料金や事務用品、 日用品の購入など日々の少額な支払に備えるため、事務所のスタッフなどに少額の現金を預けている場合があります。この現金の出入りを次のように帳簿付けをしているケースが多いと思います。

現金を預かっているスタッフ
お小遣い帳のような帳簿(出納帳)を付けて、残高や入出金を管理する

会計ソフトの入力担当
月に1度、この帳簿をもとに会計ソフトに入力する

このやり方では、お金の動きを「出納帳」と「会計ソフト」の両方に記入することになり、無駄な作業が発生してしまいます。次のようにすると会計ソフトに入力する時間を節約することができるので、無駄な作業を少なくすることができます。

  • 小口現金という勘定科目を設け、本来の現金と区分する
  • 小口現金の出納帳をExcel で作る。Excel の関数を利用して、勘定科目ごとに使った金額が計算されるようにする
  • 会計ソフトの入力を取引ことにしないで合計金額で行うようにする

当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
実際会計ソフトを導入された方のほとんどが、ソフトを導入して良かったとおっしゃっています。

改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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