領収書の作り方

領収書の発行方法について説明しましょう。得意先などから売上代金を集金したとき、「代金を受領した」証拠として受け渡しする書類が領収書です。
領収書は現金や小切手、手形で集金したときには得意先に必ず渡す必要があります。ただし銀行振込で入金があった場合には、振込書が代金支払いの証拠となるので、これから説明する印紙税を節約し、かつ発行の手間を省くため、受け渡しが省略されることが多くなりました。
領収書は文房具店などで売っている市販の領収書を使っても良いですし、ExcelやWordでひな型を作りプリンターで印刷しても良いでしょう。
どちらの場合でも、控えを確実に残せるようにすることが大切です。市販の領収書の場合は、複写式のものを選びましょう。プリンターで印刷する場合は、領収書のひな型と控えを同時に印刷できるフォームにしましょう。

受領金額が1万円以上の領収書は、印紙税の課税対象となります。印紙税は受取金額に応じて税額が定められていて、収入印紙という証紙を領収書に貼付し消印することによって納税する仕組みになっています。
消印とは印紙の上にかけて印を押すことをいいます。この消印は印紙の再利用を防ぐために行なうもので、消印をしないと印紙税を納付したことになりませんので注意してください。
印紙を貼らなくても領収書が無効になることはありませんが、税務署の調査で貼っていないことがわかると、本来の印紙税の額の3倍に相当する過怠税が鼓収されることになります。

領収書は得意先に渡してしまうから、税務署が調査に来てもわからないだろうと思われる方がいらっしやるかもしれませんが、税務署の目は節穴ではありません。収入印紙の購入状況と領収書の発行控えを詳細に照らし合わせ、貼付漏れがないかチェックしていきます。誤魔化せないと思った方がいいでしょう。また印紙の貼っていない領収書を発行しているようだと、得意先の信頼を得ることができません。

印紙税の課税対象となる領収書は、金銭または有価証券(小切手や手形のこと)の受取書とされていますので、クレジットカードで売上代金を受け取ったときや買掛金などと相殺したときに発行する領収書は、収入印紙を貼る必要はありません。このような印紙税の課税対象とならない領収書に収入印紙を貼っている会社が意外なほど多くありますので注意してください。無駄な税金です。

領収書に受取金額を記載するとき、消費税の金額を区分表示すると、印紙税を節税することができます。例えば商品代金と消費税額の受領金額1万円以上の売上代金を得意先から集金したとします。税込表示で領収書を作成した場合は、消費税が区分表示されていないので、税額判定の金額は1万円以上となり、課税対象となってしまいます。消費税分を別項目で領収書を作成すると、税額判定は本体価額が1万円以下となり、課税対象となりません。ちょっとした領収書の書き方の違いで印紙税を節約できます。

印紙税の節税のポイント

  • 売上代金をクレジットカードで受け取ったときに発行する領収書は、収入印紙を貼付する必要がない
  • 売上代金を買掛金と相殺したときに発行する領収書は、収入印紙を貼付する必要がない
  • 消費税の金額を区分表示すると税抜金額で印紙税を納めることができる

Excelで領収書発行フォームを作ると、きれいな領収書が簡単に発行でき、控えを確実に残すことができます。Excelフォームは、面倒な印紙税の計算や消費税額の区分表示を自動的に行いますので、領収書発行にかかる時間を節約することができます。
金額などの記載事項は、領収書(控え)にも自動転記され、印紙税額と消費税額は自動計算されます。
プリンターで印刷をしたら割印を押し、控えは大切に保存してください。
印紙税の計算は、VLOOKUP関数を使用した数式で行うと、表の中から一定の条件に対応したデータを取り出すことができます。
VLOOKUPの機能を利用して印紙税額一覧表から領収書の記載金額に応じた印紙税額を取り出し表示させます。
消費税額は、記載金額を10%でかける数式を設定し計算します。

改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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