請求書と領収書の作り方①

あらぬ疑いをかけられぬために

会社がイヤでも付き合わなければならない役所があります。ほとんどの会社の経営者は、その役所の名前を聞いただけで、暗い気持ちになるでしょう。会社をはじめて3年くらいたつと、呼んでもいないのにその役所はやってきます。その役所の係官は、皆さんの会社の内容に疑いの目をもって、帳簿や通帳、請求書などから会社のお金の動きを徹底的に調べていきます。
こまで説明するとほとんどの方はピンと来ていると思いますが、その役所の名前は税務署です。なぜ請求書と領収書の発行のところで、税務署の話題を書いたかというと、皆さんの会社は税務署から「脱税をしているのではないか」あるいは「税金を少なく払っているのではないか」と疑いの目を向けられている存在であることを認識していただきたかったからです。
税務署の調査で最も重点的に調べることは、「売上の除外」という手口の不正がおこなわれていないかということです。「売上の除外」は、会社の売上の一部を帳簿に計上しないで、税金を免れる手口です。例えば、表向きの請求書、領収書のほかに裏(脱税用)の請求書、領収書を用意する、現金で売り上げた分を帳簿に計上しない、架空名義の銀行口座に振り込ませる等の方法で「売上を除外」するわけです。
「うちはそんな悪いことはしないから大丈夫」
「売上は全部帳簿に計上しているよ」
と思われる方がほとんどでしょうが、税務署は簡単に信じてくれません。ちょっとした領収書や請求書の取り扱いミスから、あらぬ疑いをかけられることもあります。例えば書き損じた領収書の控えを領収書綴りから破り捨ててしまうと、税務署は都合の悪い売上(つまり帳簿に載せていない売上)の存在を隠すために破り捨てたと疑ってかかるわけです。 1度疑われると、身の潔白を証明するために大変な労力をかけなければなりません。
「李下に冠を正さす」といいます。税務署から疑いをかけられない領収書や請求書の発行の方法を準備しておきましょう。

改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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