売上の決算調整する

●売上の決算調整が必要な場合とは
日々の帳簿付けで、得意先に商品を納品するときに、売掛帳や仕訳伝票の入力をしている場合には、すでに「実現主義」で売上の計上がされているので、決算調整を行う必要はありません。しかし、請求日に売上計上している場合は、得意先との取引条件によって、決算日までに納品が完了した分を売上に計上するため決算調整を行う必要があります。代表的な取引条件をもとに調整内容を具体的に説明しましょう。

●取引条件が「20日締め当月末請求」の場合

Aの期間の売上は、3月31日(請求日)に日々の帳簿付けですでに計上済です。Bの期間の売上は、4月30日つまり翌期になって帳簿付けする売上です。このままだと、Cの期間の売上が計上漏れになってしまいます。そこでこの期間の売上を追加計上するため、決算調整が必要になります。

●取引条件が「末日締め翌月10日請求」の場合

Aの期間の売上は、3月10日(請求日)に日々の帳簿付けですでに計上済です。Bの期間の売上は、4月10日つまり翌期になって帳簿付けをする売上です。このままだと、Bの期間の売上が計上漏れになってしまいます。そこでBの期間の売上を追加計上するための決算調整が必要になります。
売上の調整は、決算日の日付で次の仕訳を入力します。

(借方)売掛金: ×××(貸方)売上高:×××

●決算で売上を追加計上する場合の入力例

取引条件により調整内容が異なりますが、どのような場合でも決算日までに納品が完了している売上を計上するということには変わりありません。
今年は利益がたくさん出ているから、4月になってから請求書を出そう…このような決算調整を行う会社があります。しかし、請求書の発行日が売上の計上時期になるわけではありません。従ってこのような決算調整を行っても、税務署の調査では、売上の計上漏れを指摘され、追徴課税を受けてしまうことでしょう。売上の計上時期は、商品が納品された時点である、ということをしっかりと認識するようにしましょう。

●売上を前受金に振り替えることが必要な場合とは

得意先から特別な仕様の商品や大量の商品の注文を受けた場合には、キャンセルにともなうリスクを回避するため、注文時に手付金や前渡金を請求する場合があります。この手付金や前渡金は、売上に計上する必要はありません。なぜなら商品の納品が済むまでは、収益が実現していないからです。
日々の帳簿付けで、この手付金や前渡金を売上として計上している場合には、前受金(負債)の勘定科目に振替え、売上をマイナスする決算調整を行います。

(借方)売上高:×××(貸方)前受金:×××

当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
実際会計ソフトを導入された方のほとんどが、ソフトを導入して良かったとおっしゃっています。

改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

お問合せ・ご相談はこちらからどうぞ

045-869-0337

営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》

この記事を書いた人