商品を仕入れる・代金を支払う②

得意先へ販売する商品を購入するための代金(仕入)は、「仕入高」という助定科目で経理処理をします。仕入は売上をあげるために直接必要な費用(売上の原価) であることから、会計上、大変重要な費用項目であるとされています。売上の原価の経理処理は、会社の営む業種によって使用する勘定科目名が異なりますので、業種ごとに紹介します。

●経理処理のポイント(サービス業の場合)
コンサルタントやデザイン事務所、広告代理店などのサービス業の場合、売上をあげるために直接必要な費用(売上の原価)は、業務の外注先へ支払う外注費や業務委託料になります。これらの費用は、「商品仕入高」という勘定科目を使用しないで、「外注費」または「業務委託料」といった名前の勘定科目を新たに作成して経理処理を行います。
勘定科目を作成する場所は、商品仕入高のすぐ近くとします。勘定科目一覧表の下の方に「外注費」や「業務委託料」の勘定科目が設定されている場合がありますが、この勘定科目は「売上をあげるために直接必要な費用」の経理処理には使用しませんので注意してください。

●経理処理のホイント(製造業や建設業の場合)
製造業の場合、売上をあげるために直接必要な費用は、材料を仕入れ、その材料を加工して製品を製作するので、材料費や製作にかかわった人の給料、工場の維持費など多岐にわたります。建設業の場合も同様です。
そこで、製造業や建設業の場合、売上をあげるために直接必要な費用を経理処理するために、製造原価報告書という計算書を作成します。会計ソフトの会社情報の設定画面で、製造原価に関する勘定科目を使用できるようにするための設定を行ってください。

●こうすればもっと簡単に経理ができる
売上の場合と同様に、買掛金の勘定科目に仕入先ごとの勘定科目を設定しましょう。仕入先ごとの支払状況を補助科目の一覧表で確認できるので、買掛金の支払管理をするための帳票を手作業で作成する必要がなくなります。また仕入高の勘定科目に仕入先ごとの勘定科目を設定すると、仕入先ごとの仕入の金額(月計、累計など)を補助科目の一覧表で確認する事ができるので、仕入の推移表などを手作業で作成する必要がなくなります。

●消費税の税区分
日本国内の仕入先から購入した商品は原則として消費税が課税されます。消費税の申告が必要な会社は、会計ソフトに仕入の仕訳を入力するとき、税区分が「課税仕入(10%)」になっているか、消費税が自動計算されているか確認するようにしましょう。
海外から商品を輸入した場合は、商品を空港などで引き取る時、税関に消費税と地方消費税を納付します。国税の消費税については「課税輸入仕入消費税分」、地方消費税については「課税輸入仕入地方消費税分」という税区分を使用することに注意してください。
税関に納めた消費税・地方消費税の仕訳(税抜経理の場合)に関しては、輸入商品の支払い代金を経理処理するとき、消費税を自動計算してしまうと、消費税が二重計上されてしまいますので、消費税が0円になるよう、上書き入力をしてください。

当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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