税金を支払う①

法人税、事業税、印紙税、源泉所得税、自動車税、登録免許税…など、会社はさまざまな税目の税金を支払います。これらの税金は、その性格により、会社の財産や文書などにかかる税金、会社の儲けにかかる税金、給料や報酬などから源泉徴収した税金、に分類することができます。分類ごとに、税金の種類や経理処理する勘定科目について詳しく見ていくことにしましょう。

●経理処理のホイント(会社の財産や文書などにかかる税金)
本社や工場の土地や建物を所有する会社には、固定資産税などの税金がかかります。また領収書や契約書を作成すると印紙税がかかります。このような会社の所有する財産や作成した文書にかかる税金は、「租税公課」の勘定科目で経理処理をします。
租税公課は、損益計算書で給料や広告宣伝費などと同様に販売費及び一般管理費に分類される費用に使用される勘定科目です。つまりこれらの税金は、「会社を運営していく上でのコスト」として認識されることになります。次項で説明する「会社の儲けにかかる税金」とは、損益計算書において表示される場所が異なりますので注意してください。
会社の財産や文書などにかかる税金(租税公課の勘定科目で経理処理する税金)には、次のようなものがあります。

  • 領収書などに貼付する…収入印紙(印紙税)
  • 自動車の所有者に課税される…自動車税、自動車取得税、重量税
  • 豊記をしたときにかかる…登録免許税
  • 不動産の所有者にかかる…不動産取得税、固定資産税
  • 備品などの所有者にかかる…償却資産税
  • 税金の申告や納付が遅れたときかかる…延滞税、延滞金、過少申告加算税等
(借方)租税公課 000,000(貸方)現金 000,000

●経理処理のホイント(会社の備けにかかる税金)
会社の儲けにかかる税金には、国税として法人税、地方税として法人都道府県民税、事業税、法人市町村民税があります。これらの税金は「法人税等」(費用)の勘定科目で経理処理をします。決算のとき未払い計上し、支払のときその未払いを取り崩す…というように、少し複雑な経理処理を行います。3月決算の会社を例に、具体的な経理処理の方法について見てみましょう。

  • 3月31日(決算日)
    決算日にその営業年度の儲けにかかる法人税、法人都道府県民税、事業税、法人市町村民税の金額を計算し未払い計上します。未払い計上にあたっては、「未払法人税等」(負債)の勘定科目を使用し、次のとおり経理処理をします。
(借方)法人税等 000,000(貸方)未払法人税等 000,000
  • 5月31日(税金の納期限)
    法人税、法人都道府県民税、事業税、法人市町村民税の納付期限は決算日の翌日から2ケ月以内です。納付した税金は、次のとおり経理処理をします。
(借方)未払法人税等 000,000(貸方)現金等 000,000
  • 11月30日(予定納税の納期限)
    前年の法人税額が20万円を超える会社は、中間決算日の翌日から2ヶ月以内に予定納税をしなければなりません。納付した税金は、次のとおり経理処理をします。
(借方)法人税等 000,000(貸方)現金等 000,000

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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