賞与の計算をする②

●経理処理のポイント
賞与から控除する所得税の金額は、源泉徴収税額表に記載されている「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って算出します。

STEP 1 税率を求める
賞与の支払を受ける者の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」と「扶養親族等の数」から、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表で「賞与にかける率」を求める

STEP 2 税額を求める
「賞与の支給額から社会保険料等を控除した金額」に「賞与にかける率」を乗じて金額を求める

●経理処理のポイント
AさんとBさんの所得税を求めてみましょう。

▼Aさん
前月の社会保険料等控除後の給与等の金額と扶養親族の数
→ 435,270円、扶養親族等の数3人
税額表でこの条件にあった税率を求める
→ 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和4年分)のとおり税率は10.210%になります。
「賞与の支給額から社会保険料等を控除した金額」に税率をかけて税額を求める
→ (1,000,000-49,250-91,500)×10.210%=87,729円

▼Bさん
前月の社会保険料等控除後の給与等の金額と扶養親族の数
→ 75,503円、扶養親族等の数0人
税額表でこの条件にあった税率を求める
→ 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和4年分)のとおり税率は2.042%になります。
「賞与の支給額から社会保険料等を控除した金額」に税率をかけて税額を求める
→ (200,000-2,700)×2.042%=4,028円

●経理処理のポイント
給与計算が終わったら、給与明細書を作成し従業員に交付します。給与明細書は、市販の様式を利用しても良いですし、Excelなどで作成しても良いでしょう。

▼Aさん

支給額賞与支給額1,000.000
  
支給額計1,000,000
控除額健康保険49,250
厚生年金保険料91,500
雇用保険0
所得税87,729
  
控除額計228,479
支給額771,521

▼Bさん

支給額賞与支給額200.000
  
支給額計200,000
控除額健康保険0
厚生年金保険料0
雇用保険2,700
所得税4,028
  
控除額計6,728
支給額193,272

賞与の支給額は、「賞与」の勘定科目で経理処理をします。控除額は「預り金」勘定で経理処理をします。AさんとBさんの賞与支払の仕訳は次のとおりになります。
※Aさんは役員であることから、役員給与の勘定科目で経理処理することがあります。

▼Aさん

(借方)賞与 1,000,000(貸方)現金 771,521
 (貸方)預り金 228,479

▼Bさん

(借方)賞与 200,000(貸方)現金 193,272
 (貸方)預り金 6,728

●経理処理のポイント
賞与の支給が済んだら、賃金台帳に支給額や社会保険料の金額、所得税の金額などを転記しましょう。

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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