社会保険料を支払う

会社が日本年金機構、協会けんぽや労働局に支払う保険料の金額には、給与などから控除して預かった金額のほか、会社が負担する保険料の金額が含まれていますので、経理処理をするとき注意が必要です。

●経理処理のポイント(社会保険)
社会保険料は、毎月中旬頃に日本年金機構・協会けんぽから送付される「納入告知書」(納付書)によって納付します。「納入告知書」に記載された納付額は、健康保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金の総額です。児童手当拠出金はすべて会社負担ですが、健康保険料、厚生年金保険料は、従業員と会社が2分の1ずつ負担することになります。
会社負担の社会保険料は、「法定福利費」の勘定科目で経理処理をします。従業員負担の社会保険料は、「預り金」の勘定科目で経理処理をします。
次の保険料納入告知額通知書の例で、仕訳について具体的に説明しましょう。健康保険料は、47,400円のうち従業員負担分が23,700円、会社負担分が23,700円です。厚生年金保険料は、82,060円のうち従業員負担分が41,030円、会社負担分が41,030円です。児童手当拠出金は650円が会社負担です。
健康保険料と厚生年金保険料の従業員負担額は、前月給料から控除した金額と一致します。

●保険料納入告知書の内容を分析してみよう

(借方)預り金 23,700(貸方)現金 130,110
(借方)預り金 41,030 
(借方)法定福利費 65,380 

なお法定福利費の内訳は次のとおりです。
①健康保険料の会社負担額…………47,400ー23,700=23.700円
②厚生年金保険料の会社負担額…82,060ー41,080=41,030円
③児童手当拠出金の会社負担額…650円
①+②+③=65,380円

●経理処理のホイント(労働保険)
労働保険料は、前年4月から本年3月までの確定保険料と、本年4月から翌年3月までの概算保険料を、所轄の労働局に5月20日までに納付するとされていましたが、平成21年度より7月10日に変更になりましたので注意してください。労働保険料として納付した額は、雇用保険料、労災保険料の総額です。労災保険料はすべて会社負担となりますが、雇用保険料については、1000分の6が従業員負担(給料から控除している金額)、1000分の9.5が会社負担の金額になります。(一般の事業の場合で、平成23年度)
会社負担の雇用保険料と労災保険料は、「法定福利費」の勘定科目で経理処理をします。従業員負担の雇用保険料は、「預り金」の勘定科目で経理処理をします。

●消費税の税区分
健康保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出金などの社会保険料、雇用保険料、労災保険料などの労働保険料は消費税が課税されません。税区分が「対象外」になっているか、消費税が自動計算されていないか確認するようにしましょう。

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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