接待や打ち合わせをする

得意先などを接待するために支出した飲食やゴルフ、旅行、贈答などの費用は、「接待交際費」の勘定科目で経理処理をします。得意先などと商談や打ち合わせをするためにかかった費用は「会議費」の勘定科目で経理処理をします。 こでは交際費課税の仕組みや交際費課税の対象となる費用の範囲について紹介します。

●経理処理のポイント(接待交際費とは)
得意先などを接待するためにかかった費用は、交際費課税の対象となります。交際費課税とは、接待にかかった費用を原則として法人税など会社の儲けにかかる税金の課税対象とするという制度です。交際費課税の対象となる主な支出は、次のとおりです。

  • 取引先などを飲食で接待するための費用
  • 取引先などをゴルフや旅行に招待するための費用
  • 中元や歳暮など取引先に贈答をするための費用
  • 取引先の関係者など社外の者の慶弔に際して支払う香典、祝い金など
  • 取引先の従業員など社外の者に取引の謝礼などのために交付する商品券、ビール券などの購入費

●経理処理のポイント(交際費課税の対象となる金額とは)
課税対象となる金額は、資本金の額に応じて次のように定められています。資本金が1億円超の会社は支払った交際費の全額が課税の対象になります。

  • 資本金1億円超の会社
    支出交際費の全額
  • 資本金1億円以下の会社
    年間交際費600万円以下の会社:支出交際費の10%
    年間交際費600万円超の会社:60万円+600万円を超える金額
    ※平成21年4月1日以後に終了する事業年度から、資本金1億円以下の会社の定額控除額が400万円から600万円に改訂されました。

●経理処理のポイント(交際費課税でいくら税金が増えるのか)
交際費課税という言葉を知っていても、いくら税負担が増えるのか…といった課税の仕組みがわからない方が意外と多いようです。そこで交際費課税の仕組みを次の事例をもとに具体的に説明します。

A社とB社は資本金1,000万円の会社である。今期の業績は次のとおりである。儲けにかかる税金の税率を40%として、A社とB社の税金の負担額を比較する。

A社B社
売上3,000万円売上3,000万円
仕入2,000万円仕入2,000万円
交際費800万円広告費800万円
利益200万円利益200万円

まずは交際費課税がないものとして、A社とB社の税金の金額を計算してみましょう。交際費課税がない場合、このようにA社とB社の利益が同じ金額なので、税金の金額は同じになります。

A社B社
200万円×40%=80万円200万円×40%=80万円

次に交際費課税がある場合の税金の金額を計算してみましょう。まず交際費の支出のあるA社の課税対象となる金額を計算します。A社は資本金1,000万円、支出交際費の金額が800万円なので、課税対象となる金額は次のとおりになります。
交際費課税の対象となる金額60万円+(800万円-600万円)=260万円
それでは交際費課税がある場合のA社とB社の税金の金額を計算してみましょう。

A社B社
(200万円+260万円)×40%=184万円200万円×40%=80万円

この計算結果により、A社は交際費課税により儲けにかかる税金が104万円増えるということになります。

●税務はここをチェックする
接待交際費という言葉から「接待交際費=飲食代」とイメージされる方が多いことでしょう。
ところが交際費課税の対象となる費用の範囲は、一般の方の常識を超えるほど広いので注意が必要です。税務署の調査で接待交際費であると指摘されることが多い、意外な交際費項目をピックアップします。

  • 会社の役員、従業員の慰安等を目的とした飲食代
    交際費課税の対象となるのは得意先など社外の者との飲食代に限られる、と理解されている方が多いのではないでしょうか。交際費課税の対象には、社内の者の飲食代も含まれます。ただし忘年会、新年会、創立記念日等の社内行事における飲食代は、交際費課税の対象としないことができます。
  • 情報提供の謝礼として取引先に支払った金銭
    交際費課税の対象となるのは物品の贈答に限られる、と理解されている方が多いのではないでしょうか。交際費課税の対象には、情報提供の謝礼として取引先などに金銭を支払った場合も含まれます。ただし事前に契約を締結している場合や金銭の交付先が情報提供の専門会社である場合は交際費課税の対象としないことができます。
  • 接待のためにかかった交通費
    交際費課税の対象となるのは飲食代などに限られる、と理解されている方が多いのではないでしょうか。交際費課税の対象には、接待ゴルフにおける高速代、電車賃などの交通費、飲食で接待した場合における帰宅のためのタクシー代など、接待をするためにかかった一切の費用が含まれます。

●節税のポイント
得意先との飲食代は、原則として交際費課税の対象となりますが、会議に関連して提供される飲食代は、交際費課税の対象としないことができます。これは一般的に「会議費といわれるもので、「会議に際して社内または通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物の接待に要する費用」のことをいいます。簡単に言うと、会議の時の弁当代や打合せを兼ねた昼食の費用(ビジネスランチ)が該当します。
また平成18年度の税制改正で、交際費課税の対象となる飲食代の範囲から、1人当たり5,000円以下の飲食代(社内の飲食代を除 く)が除外されることになりました。
これらの規定を適用して、飲食代を交際費課税の対象から除外するためには、次の様式の「接待費・会議費 使用申請書」を作成し、飲食の目的や相手先、相手先と当社の出席者の人数、出席者の氏名などを明らかにしておく必要があります。
今後の税務署の調査においては、「1人あたり5,000円」の飲食費であるかが重要になるため、 参加者の人数等が重点的に調査されるようになりました。

●消費税の税区分
交際費や会議費は、原則として消費税が課税されます。消費税の申告が必要な会社は、会計ソフ トに接待交際費の仕訳を入力するとき、税区分が「課税仕入 」になっているか、消費税が自動計算されているか確認するようにしましょう。
ただし、次の支出は消費税が課税されません。税区分が「対象外」になっているか、消費税が自動計算されていないか確認するようにしましょう。

  • 香典や見舞金、祝い金など慶弔に際して支出した金銭
  • 海外における飲食代やゴルフ代、交通費など
  • 贈答に使用する商品券、ビール券などの購入費用

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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