低価法適用のための決算セールはナンセンス

決算セールと聞くと、「期末に在庫を一掃したいのか?」と思われるかもしれません。確かにその側面もあるのですが、実は節税策の一つでもあるのです。決算セールによって在庫を安く販売することで、その金額で販売をしたという事実を作ることができます。これがキモです。

●在庫の時価はいつの時価?

在庫の評価方法には、原価法低価法の2つがあります。原価法というのは購人価格を在庫の金額とするもので、低価法は時価が原価より下がっている場合、期末時点での時価を在庫の金額とする方法になります。原価法の場合は購入価格が在庫の金額となるだけですが、低価法の場合は時価を在庫金額とするので、時価が下がっていれば含み損を当期の経費として計上できるというメリットがあります。
では、ここでいう時価とは、何をもって時価というのでしょうか。時価の考え方には正味売却価額と再調達原価とがありますが、法人税基本通達5ー2ー11によると、「当該事業年度終了時においてその棚卸資産を売却するものとした場合に通常付される価額」とされているので、正味売却価額が時価ということになります。そうすると、決算セールにおいて値引販売をしていたのであれば、その金額こそが事業年度終了時の通常付される価額ということができます。その結果、低価法の恩恵を受けることができるのです。
もちろん、取得原価よりも低い価格で販売していなければ低価法の適用が受けられないので、原価割れの販売をする必要があります。ただ低価法の適用を受けたいからという理由で決算セールをするのはナンセンスですが、不良在庫の処分をしたいような場合は悪くない手法であるといえます。

●低価法を適用するためには届け出が必要

なお、棚卸資産の評価方法は、届け出をしないと最終仕入原価法による原価法が適用されます。
低価法の適用を受けたい場合は、その事業年度開始日の前日までに棚卸資産の評価方法変更の届け出を提出する必要があります(設立1年目の場合は、1年目の確定申告書の提出期限まで)。また現行の方法を採用してから相当期間(凡そ3年)を経過していない場合、その申請は却下されるので注意してください。
決算セールでの節税は、不良在庫を全部さばけなかったとしても、販売価格が取得原価を下回っていた場合に差額を評価損として計上することができます。決算セールで在庫を減らしてキャッシュを増やしながら、節税することもできるという状況を作り上げることができるのです。
ただし原価割れで販売するというのは本来あってはいけないことなので、そうならないようにしたいものです。また評価損の計上の適用を受けるためだけにごく一部の在庫を原価割れで販売したような場合は、悪質と判断されて税務否認される可能性が高くなるので注意してください。
そういったリスクを全て回避したいのであれば、原価割れ販売ではなく在庫を廃棄することも検討してみましょう。在庫を廃棄してしまえば、廃棄分を経費にすることができるので、二束三文の収益しか見込めないような場合や、プランドイメージを大切にしている場合は、廃棄を検討してもよいでしょう。

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  • 適格請求書(インボイス)とは
    売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
    具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
  • インボイス制度とは
    <売手側>
     売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    <買手側>
     買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    ※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

■参考書籍■
【新版】本当使える節税の本(社長、そんな節税ではあとがコワイです!)
冨田健太郎/葛西安寿 箸
株式会社自由国民社 発行

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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