翌期の経費の前倒しで効果を出すのは難しい

翌期の始めに予定している経費(費用)を先取りして当期に計上することで、当期の税金を少なくするというのは理にかなっている手法です。ただし、時期を早める必要があるのかどうかは真重に検討しなければなりません。また支出をしただけでは損金とならない可能性もあるので、注意が必要になります。闇雲に前倒しをしていると、税務調査で否認されてしまうことになりかねないので気をつけてください。
今回は代表的な前倒し費用として、次の4つを紹介していきます。

  1. 宣伝費…看板の作成、媒体へのバナー出稿など
  2. 修繕費…機械のメンテナンス、車両の修理など
  3. 交際費…飲食接待、ゴルフなど
  4. 社員旅行…国内旅行、海外旅行
●各前倒し費用の注意点
  1. 宣伝費について
    看板の作成やバナー出稿であれば前倒ししてもよいでしょう。バナー広告など等質等量の広告であれば、1年分を前払いしておけば全額を当期の損金にすることができます(短期前払費用といいます)。ただし、リスティング広告のデポジット(検索連動型広告の預かり金)をしたような場合は、使わなければ経費にならないので注意してください。
  2. 修繕費について
    そもそも前倒しをする必要があるのかという間題があります。使えている状態であれば、まだ修繕する必要はないかもしれません。修繕を行う場合は、修繕が期末までに完了しないと当期の経費にできないので、工事業者のスケジュールを確認しておく必要があります。
  3. 交際費について
    時期を早めることによって、結果として回数が増えただけだったということになりかねません。前倒しの効果は少ないので、必要なタイミングで行うの
    がよいでしょう。
  4. 社員旅行について
    多くても年1回が通常だと思います。既に社員旅行を開催していたとすれば、無理に実施する必要はありません。また期未日までに旅行が終わっていないと全額を経費にすることができなくなってしまいます。決算対策としていきなり実施するには無理がある項目です。なお高額過ぎる社員旅行は給与課税される可能性があります。その点にも注意しましょう。
●経費の前倒しは効果があるのか?

このように、前倒しして経費計上することか、良い結果を生むとはいい難い部分があります。無理して前倒しをする必要は全くないので、前倒しをしても間題がないかをよく検証してから実施するようにしてください。
前倒し計上は、翌期の費用を先取りするだけです。翌期であれば何の間題もなく経費として計上できたものを、無理して当期に入れることになるので、そこに歪みが生じてきます。
期末の費用というのは、税務調査でも必ずチェックされ、不自然な経費については必ず指摘を受けます。計上要件を満たさない経費を計上していたりすると、悪質な会社というレッテルを貼られてしまう可能性もあるので、前倒し計上は慎重な判断に基づいて行いましょう。

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  • 適格請求書(インボイス)とは
    売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
    具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
  • インボイス制度とは
    <売手側>
     売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    <買手側>
     買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    ※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

■参考書籍■
【新版】本当使える節税の本(社長、そんな節税ではあとがコワイです!)
冨田健太郎/葛西安寿 箸
株式会社自由国民社 発行

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営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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