10万円以上の器具や備品などの購入代金は、全額を購入時の費用に計上することはできません。いったん資産に計上し、その資産の使用期間にわたり、少しずつ費用に計上します。この費用計上の手続きを減価償却といい、費用に計上する勘定科目のことを減価償却費といいます。
何故、このように手数をかけて少しずつ費用に計上するのでしょうか。パソコンを例に説明をしましょう。会社で購入したパソコンは営業や経理などの業務に使用され、会社の利益獲得に貢献をします。貢献する期間は、機種にもよるでしょうが、概ね4年程度です。費用と収益の対応を考えると、購入したときにだけ費用負担させるより、使用期間にわたって費用負担させた方がより正確に利益を計算することができます。各年度に公平に費用を配分するため、利益計算に大きな影響を及ばす高額の備品などの購入費用は減価償却を行う必要があるのです。
減価償却の考え方は、取っつきにくいので、難しく感じられたことと思いますが、設備投資や資金繰りを検討するとき、どうしても必要になる考え方です。
減価償却の対象となる主な資産の区分と内容は次のとおりです。取得価額が一定の金額未満の資産は購入時の費用とすることができます。
区分 | 勘定科目 | 具体例 | 費用処理 |
有形固定資産 | 工具器具備品 | パソコン、電気製品、ロッカー、机 | 10万円未満のもの |
車両運搬具 | 乗用車、トラック、オートバイ | ||
構築物 | 駐車場のアスファルト、広告塔 | ||
建物附属設備 | 建物の空調設備、給 排水設備 | ||
建物 | 店舗、事務所などの建物 | ||
無形固定資産 | ソフトウェア | 業務用のソフト | 10万円未満のもの |
税法上の繰延資産 | 長期前払費用 | 礼金、同 業者団体の入会金 | 20万円未満の支出 |
リース資産 | リース資産 | 売買処理をしたリース資産 | なし |
器具や備品などの有形固定資産の減価償却の計算方法には、さまざまなものがありますが、実務上よく使われているのは定率法、定額法、一括償却の3つの方法です。
なお平成19年の税制改正で定率法、定額法の計算方法が改正されました。
これにより改正前の計算方法は、改正後の計算方法と区分するため、旧定額法、旧定率法と呼ぶことになりました。平成19年3月31日以前に取得した資産は旧定額法、旧定率法が除却されるまで適用されます。
平成19年4月1日以降に取得した資産については、改正後の計算方法が適用されます。
つまり平成19年3月31日以前に取得した資産があるうちは、新旧の方式が使用されることになりますので注意してください。
※平成23年12月に税制が改正され、定率法の償却率等が変更されましたのでご注意ください。この改正は平成24年4月1日以後に取得する資産に原則として適用されます。
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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。
令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
- 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
そして - 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
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