給料の計算をする③

●経理処理のポイント
給与から控除する雇用保険料の金額は、給料の金額に雇用保険料率をかけて算出します。従って給料の金額が変動すると、それに応じて雇用保険料の金額も変動します。社会保険料とは取り扱いが異なりますので注意してください。
雇用保険料を差し引くのは、雇用保険の対象となる方だけです。役員や雇用期間の短いパートタイマーなどは対象になりませんので、雇用保険料を給料から差し引かないようにしてください。
雇用保険の対象となる給料の金額は、基本給や技能手当、住宅手当、残業手当、通勤手当など、給料として支給されるものすべてです。所得税では非課税とされる通勤手当も、雇用保険では保険料計算の対象とされますので注意してください。
給料の支払を受ける従業員のことを被保険者といいますので、雇用保険率表の被保険者負担率を適用します。一般の事業の場合、9.5/1000、つまり0.95%となります。(令和4年度)Aさんは、社長なので雇用保険の対象ではありません。Bさんは、パートタイマーですが、雇用期間が長期なので雇用保険の対象となります。
Bさんの給料から控除する雇用保険の金額を計算してみましょう。

  • 雇用保険料率→9.5/1000
  • 雇用保険料の対象となる給料→82,800 円(64,000+6,800+12,000= 82,800)
  • 雇用保険料の金額は82,800×9.5/1000=786.6→787円
    ※端数処理は50銭以下切り捨てて、50銭超は切り上げる。
雇用保険率表(令和4年度)令和4年4月1日~令和4年9月30日
事業の種類 保険率 事業主負担率 被保険者負担率
一般の事業 3/1,000 6.5/1,000 9.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 4/1,000 7.5/1,000 11.5/1,000
建設の事業 4/1,000 8.5/1,000 12.5/1,000
雇用保険率表(令和4年度)令和4年10月1日~令和5年3月31日
事業の種類 保険率 事業主負担率 被保険者負担率
一般の事業 5/1,000 8.5/1,000 13.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6/1,000 9.5/1,000 15.5/1,000
建設の事業 6/1,000 10.5/1,000 16.5/1,000

●経理込理のポイント
給与から控除する所得税の金額は、毎月の給料の金額を源泉徴収税額表に記載されている税額にあてはめて算出します。雇用保険料と同様に、給料の金額が変動すると、それに応じて所得税の金額が変動します。
源泉徴収税額表には、月額表、日額表…などいくつも税額表が掲載されていて、さらに税額表に甲欄、乙欄など意味不明の言葉が並んでいるので、はじめてこの税額表を見た方は「どうやって見ればいいのだろうか…」と不安に思われたことでしょう。
しかし普段の給料計算で使うところは限られていますので、意外なほど簡単に使い方を覚えることができます。
まずは源泉徴収税額表の表紙を見てください。表紙には源泉徴収税額表に掲載されている税額表の名前が並んでいます。給料が月ごとに支払われている場合は、給与所得の源泉徴収税額表(月額表)を使用します。アルバイトやパートタイマーの方の給料を時給や日給で計算している場合でも、支払が月払いであれば、月額表を使用します。ほとんどの会社は、給料を月払いしていると思いますので、月額表の使い方をマスターすれば良いでしょう。

AさんとBさんの所得税を求めてみましょう。

【Aさん】
  • その月の社会保険料等控除後の給与等の金額 →500,000-23,700-41,030=435,270
  • 扶養親族等の数 →無職の妻と高校生の子ども2人が対象になりますので3人です。
  • 税額表でこの条件にあった税額を求める 給料から差し引く所得税の金額は9,550円になります。

【Bさん】

  • その月の社会保険料等控除後の給与等の金額
    →64,000+12,000-497=75,503
  • 扶養親族等の数
    →0人です。
  • 税額表でこの条件にあった税額を求める
    給料から差し引く所得税の金額は0円になります。

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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