OA機器などをリースする

コピーやFAX、電話、パソコンなどのOA機器を導人するとき、「リース」がよく利用されています。リースには簡単な審査で代金を分割払いにできるというメリットがあります。資金に余裕がない会社が多い中小企業においては、リースの利用は常識であるといってもよいでしょう。
リースというと単に物品を借りる、というイメージを持っている方が多いと思いますが、契約内容をよく読んでみるとほとんどの場合で中途解約不可 となっています。つまり中途解約の場合は、「解約日から満了日」までのリース料を一括して払わなければならないのです。
従来、リースは「貸し借り」として認識され、リース料を単純に賃借料などの勘定科目で経理処理されてきました。しかしさきほど説明した中途解約不可というリースの性格からすると売買と同じ経理処理が必要であるということになり、平成20年度4月より会計の考え方が変更されました。
大企業においては元本と利息を区分するなど大変複雑な経理処理が求められるようになったのですが、中小企業においては簡便的な経理処理の方法が認められています。

●経理処理のポイント
リース取引は売買と考える経理処理を行うのが原則ですが、中小企業においては従来と同様に賃貸借と考えて経理処理することも認められています。
コピー機を月額リース料31,500円、リース期間5年で導入した場合の2つの経理処理を具体的にみていくことにしましょう。

リース契約

物品名コピー機
月額リース料31,500円
リース期間5年
中途解約不可

●売買と考える経理処理
まずはリース期間に支払うリース料の合計(リース料総額)を計算しましょう。
リース料の総額=月額リース料×12×リース期間
 → 31,500円×12×5年=1,890,000円
売買処理では、リース総額で資産を取得したと考えます。資産は「リース資産」、負債は「リース債務」の勘定科目で経理処理を行います。(税込経理の場合の仕訳例)

(借方)リース資産 1,890,000(貸方)リース債務 1,890,000

なお、リース料を支払ったときの経理処理は次のとおりです。(普通預金口座からリース料を支払った場合)

(借方)リース資産 31,500(貸方)普通預金 31,500

リース資産に計上した金額は、減価償却の方法によりリース期間にわたり費用化します。

●賃貸借と考える経理処理
リース契約締結時の経理処理は不要です。リース料を支払ったときに賃貸料などの勘定科目で費用に計上します。従来のリース取引にかかる経理方法と同様です。売買処理と比べ大変簡単な経理方法であるといえるでしょう。(税込経理の場合の仕訳例)

(借方)賃借料 31,500(貸方)普通預金 31,500

●節税のポイント
賃貸借と考える経理処理をしている場合、リース料を支払った期に消費税の控除をするのが一般的ですが、リース契約締結した期にリース総額にかかる消費税を控除することもできますので覚えておきましょう。

●税務署はここをチェックする
リース期間がリース資産にかかる耐用年数より著しく短い場合、税務署は通常の売買とみなし、リース取引としての経理処理を認めてくれませんので注意してください。
耐用年数が10年未満の資産:耐用年数×70%>リース期間
耐用年数が10年以上の資産:耐用年数×60%>リース期間

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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