応接セットやコピー機、ビジネス電話、サーバーなど高額(10万円以上)の器具や備品を購入したときは、「工具器具備品」や「ソフトウェア」など資産の勘定科目で、経理処理をします。
●経理処理のポイント
10万円以上の器具や備品の購入代金は、「工具器具備品」の勘定科目で、10万円以上のソフトウェアの購入代金は、「ソフトウェア」の勘定科目で経理処理をします。具体的には次のような費目が該当します。
▼工具器具備品の勘定科目で経理処理する費目
- 応接セット、会議用テープル、書棚、ロッカー ローパーテーションなどの備品
- パソコン、オフコン、ピジネス電話、コピー機などのOA機器
- エアコン、冷蔵庫、テレビなどの電気機器
▼ソフトウェアの勘定科目で経理処理する費目
・販売管理や仕入管理、在庫管理、財務会計のソフトウェア
●税務署はここをチェックする
物品の購入代金が10万円未満であれば購入時に全額費用計上できますが、10万円以上の場合、購入時に費用計上できません。応接セットを決算月に購入したという事例で、具体的に説明しましょう。
- 99,999円で応接セットを購入した
→ 99,999円が購入した期に費用計上できます。 - 100,000円で応接セットを購入した
費用計上できるのは次の金額です(一括償却を選択した場合)
→ 100,000円×1/3=33,333円
購入金額はたった1円しか違わないのに、当期で費用に計上できる金額は、66,666円も違ってしまいます。利益が出ている会社の経営者は、少しでも費用を多く計上したいと思うので、購入価額をできるだけ10万円未満に押さえたいと考えることでしょう。しかし購入価額は、運賃や据え付け費用が含まれる、一組毎に判断するするなど世間の常識より広くとらえなければなりません。税務署は、間違えて費用処理されている物品の購入代金がないか、厳しくチェックをします。税務署の調査のとき、追徴課されることのないよう、
ここで購入価額の範囲についてしっかりと押さえておきましょう。
- 資産取得のための付随費用も含めて判断する
物品の購入価額には、資産本体の購入代金のほか、資産の購入のたのに要した費用やその資産を使用するために直接要した費用の額が含まれます。
資産の購入のために要した費用とは、運賃、運送にかかる損害保険料、購入手数料、関税などの諸費用をいいます。資産を使用するために直接要した費目とは、据え付け費用、試運転の費用をいいます。これらの付随費用を含めないで10万円の判定をしてしまい、税務署にミスを指摘されるケースが多くみられますので注意してください。 - 通常1単位として取引される資産ごとに判定する
物品の購入価額が10万円未満であるかは、1個、1組、ひとそろいごとに判定をします。具体的には次のように判定をします。
カーテンやプラインド → 窓ことではなく、部屋ことに判定をする
応接セット → テープルと椅子をセットで判定する
●節税のホイント
消費税を税抜経理している会社は、10万円の判定を税抜で行うことができます。例えば、本体価額99,999円、消費税4,999円の物品を購入した場合、税抜経理の会社では、99,999円<10万円で費用計上できますが、税込経理の会社では、104,998円≧10万円で費用計上することができません。消費税の申告義務がある会社は税抜経理を選択することができます。
●消費税の税区分
器具や備品、ソフトウェアの購入代金は、消費税の課税される取引です。また、海外から輸入したものは、税関に別途納付する消費税についても適切に 理をしましょう。
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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。
令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
- 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
そして - 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
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