銀行や日本政策金融公庫などの金融機関から、資金を借りたとき、返済したときの経理処理の方法について説明をします。
●経理処理のホイント(お金を借りたとき)
銀行などからお金を借り入れる方法には、支払手形を銀行に差し入れる「手形借入」、金銭消費貸借契約書を締結する「証書借入」などがあります。手形借入は短い期問(3ヶ月、6ヶ月など)の借入によく使われます。一方、証書借入は長い期間(3年、5年、10年など)の借入によく使われます。
融資が実行されると、会社の銀行口座には、融資金から利息や印紙税、保証料などの諸経費が差し引かれて入金されます。次の計算書をもとに、経理処理について詳しく見ていくことにしましょう。
銀行から融資を受けた金額は120万円ですが、そこから利息3,500円、印紙税2,000円、保証料50.000円が差し引かれ、1,144,500円が預金口座に入金されています。融資金と諸経費は次のとおり、経理処理を行います。
ご融資計算書 | |||
実行日 | R4.4.1 | 返済 | 毎月2万円60回払い |
元金 | 1,200,000 | ||
利息 | 3,500 | ||
印紙税 | 2,000 | ||
保証料 | 50,000 | ||
差引御入金額 | 1,144,500 |
- 融資金
融資金(元金=120万円)は、負債の勘定科目である「短期借入金」または「長期借入金」で経理処理を行います。短期借入金は、決算日から1年以内に返済期日が到来する借入金に使用し、長期借入金は決算日から1年を超えて返済期日が到来する信入金に使用します。3月決算の会社の場合、1年間の返済金額である24万円を短期入金で、残額の96万円を長期借入金の勘定科目で経理処理をします。なお毎決算期において、決算日から1年以内に返済期日が到来する借入金を長期借入金から短期情入金に振りかえます。 - 利息
個人利息は、「支払利意」の勘定科目で経理処理をします。利息は銀行に前払いするケースが多いと思います。この場合、支払時に前払費用として資産計上し、翌月に費用計上するのが本来の経理処理ですが、継続適用を条件として、1年以内の前払いに限り、支払時に費用計上することも認められていよす。経理処理の手間を省くため、支払時に支払利息として費用計上すると良いでしょう。 - 印紙税印紙税は、借入にさいして作成した金銭消費貸借契約書または手形に貼付する収入印紙代です。「租税公課」の勘定科目で経理処理をします。
- 保証料
信用保証協会などに融資の保証を受けた場合には、保証料が発生します。保証科は、融資期間に対応するものなので、いったん資産に計上します。勘定科目は、融資期間に応じて、「短期前払費用」または「長期前払費用」を使用します。決算時に、当期に対応する保証料を費用計上します。
上記の経理処理を仕訳にすると、次のとおりになります。
(借方)普通預金 1,144,500 | (貸方)短期借入金 240,000 |
(借方)租税公課 2,000 | (貸方)長期借入金 960,000 |
(借方)3,500 | |
(借方)50,000 |
●経理処理のポイント(お金を返すとき)
銀行への返済金は、支払利息と融資金(元金)の総額です。支払利息は 「支払利息」、融資金は「短期借入金」または「長期借入金」の勘定科目で経理処理をします。
(借方)短期借入金 ××× | (貸方)普通預金 ××× |
(借方)支払利息 ××× |
●消費税の税区分
支払利意や印紙税、保証料は消費悦が課税されない取引です。税区分が「対象外」になっているか、消費税が自動計算されていないか確認しましょう。
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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。
令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
- 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
そして - 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
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