資本金を1億円以下にしよう

資本金が1億円以下の法人(大規模法人や大法人と一定の関係がある場合を除く)には、次のようなお得な規定が適用されます。

  1. 軽減税率
  2. 年800万円の交際費枠
  3. 繰越欠損金の全額控除
  4. 欠損金の繰戻還付
  5. 少額減価償却資産の損金算入特例の適用
  6. 留保金課税免除
  7. 各種特別控除、特別償却の適用
  8. 外形標準課税の適用除外

以下、順に説明していきます。

資本金1億円以下の法人の法人税の税率
 

適用関係

平成30年4月1日以後
開始事業年度

中小法人、一般社団法人等、公益法人等とみなされているものまたは人格のない社団等
年800万円以下の部分
15%
(19%)
中小法人、一般社団法人等、公益法人等とみなされているものまたは人格のない社団等
年800万円超の部分

23.2%

※2019年4月1日以後に開始する事業年度において適用除外事業者に該当する法人の場合
出所:国税庁HP「法人税の税率」より編集部作成

●8つの規定をうまく活用する
  1. 税率軽減
    資本金1億円超(100億円以下)の法人の場合は、法人税の税率は23.2%となりますが、資本金1億円以下の法人は、年800万円までの所得については15~19%の税率となります。
  2. 800万円の交際費枠の適用
    資本金1億円超(100億円以下)の法人の場合は、外部との飲食代の50%が損金算入されますが、資本金1億円以下の法人の場合は、「外部との飲食代の50%」と「年間800万円」のうちいずれか多い金額までが損金算入されます。すなわち、年間800万円までは用途を問わず無条件に損金算入されることになります。
  3. 繰越欠損金の全額控除
    資本金1億円超の法人の場合は、過去10年以内(2018年4月1日以降開始事業年度の場合)に発生した繰越欠損金のうちその事業年度の所得金額の50/100までを当期の所得金額から控除することができます。これに対し、資本金1億円以下の法人の場合は、過去10年以内に発生した繰越欠損金の内その事業年度の所得金額までを控除できます。すなわち、当期の所得金額より過去10年以内に発生した繰越欠損金の方が多い場合は、当期の所得はゼロということになります。
  4. 欠損金の繰戻還付
    この制度は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が生じた場合(「欠損事業年度」)において、その欠損金額をその事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度(「還付所得事業年度」)に繰り戻して法人税額の還付を請求できるというものです。
    例えば前期1000万円の課税所得が出て法人税を150万円支払っていた場合で、当期1000万円の欠損となったときは、前期支払った150万円の法人税の還付を受けられるということになります。
    欠損金の繰戻還付制度は、資本金1億円超の法人の場合は受けることができず、資本金1億円以下の法人のみが受けることができます。
  5. 少額減価償却資産の損金算入特例の適用
    資本金1億円超の法人が30万円未満の固定資産を取得した場合、法定耐用年数に応じて各事業年度で減価償却を行うのに対し、資本金1億円以下の法人の場合は、年間300万円までは全額を損金算入できます
  6. 留保金課税免除
    特定の同族会社(株主1グループで50%以上の株式保有等)が、利益を配当等せず内部留保をした場合には、課税留保金額に10~20%を乗じた金額が、通常の法人税とは別に課されてしまうという制度です。
    この制度は、資本金1億円超の法人の場合は対象となり、資本金1億円以下の法人は、適用が除外されています。
  7. 各種特別控除、特別償却の適用
    次のような特別償却や特別控除については、資本金1億円超の法人は受けることができず、資本金1億円以下の法人のみが受けることができます。
    • 中小企業等経営強化税制
    • 中小企業投資促進税制(特別償却のみ)
  8. 外形標準課税の適用除外
    外形標準課税とは、地方税の計算にお
    いて赤字でも課税できるように、儲け(所得)のみに課税するのではなく、報酬給与、利子、賃借料、資本金に対しても税金を課す課税方式を言います。
    この外形標準課税ですが、資本金1億円超の法人が対象法人となり、資本金1億円以下の法人には適用されません。
    これらのように、資本金が1億円以下と1億円超では、適用の有無がかなり異なってきます。1億円以下のほうが有利な制度が多いので、資本金1億円以上の法人である場合は、減資の検討をしてみても良いかもしれません。

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  • 適格請求書(インボイス)とは
    売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
    具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
  • インボイス制度とは
    <売手側>
     売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    <買手側>
     買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    ※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

■参考書籍■
【新版】本当使える節税の本(社長、そんな節税ではあとがコワイです!)
冨田健太郎/葛西安寿 箸
株式会社自由国民社 発行

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営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》

吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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