税理士は、確定申告や決算の時期だけに頼る専門家だと思っていませんか。経理や税金の相談、会社設立時の税務手続きなど、事業のさまざまな場面を支えています。一方、社会保険の手続きには、社会保険労務士との役割分担を確認すべき部分もあります。この記事では、税理士の仕事やタイプ、法律で定められた使命に加え、契約や情報共有のポイントを紹介します。経営者や個人事業主が知っておきたい役割をわかりやすく解説します。
- 税理士の中心的な仕事は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つです。所得税や法人税、消費税などについて、申告書の作成や提出の代理、税金に関する疑問への回答を行い、納税者が適切に申告できるよう支援します。
- 税務に付随する業務として、記帳代行や決算書の作成、会計ソフトの導入支援なども行います。毎月の売上や経費を整理し、利益や納税見込みを把握することで、経営者が資金繰りや事業計画を検討するための土台を整えます。
- 給与計算や年末調整に対応する税理士事務所もあります。ただし、社会保険の加入・脱退に関する手続きの代理は、原則として社会保険労務士の業務です。給与の計算と各種届出を分けて、誰がどこまで担当するのかを確認することが大切です。
▼税理士のアドバイス
税理士に依頼する際は、「決算申告だけ」「記帳から月次報告まで」など、任せたい業務を具体的に整理しましょう。給与計算を含める場合は、社会保険料の情報を誰が確認し、いつ共有するのかも決めておくと安心です。顧問料に含まれる業務と別料金になる業務を契約前に確認し、社内担当者と税理士、必要に応じて社会保険労務士との役割分担を明確にすることが、作業の重複や手続き漏れの予防につながります。
- 税理士の登録上の区分には、開業税理士・社員税理士・所属税理士があります。開業税理士は自ら事務所を設けて依頼を受け、社員税理士は税理士法人の構成員として業務を行います。ここでいう「社員」は、一般的な従業員という意味ではありません。
- 所属税理士は、開業税理士や税理士法人に雇用され、税理士業務に従事する税理士です。登録区分は主に業務を行う形態の違いを示すものであり、資格の上下や能力の優劣を表すものではありません。依頼時は実際の担当体制も確認しましょう。
- 登録区分とは別に、得意分野や支援の進め方にも違いがあります。法人の顧問業務、個人事業主の確定申告、相続税、会社設立など、経験を積んでいる領域はさまざまです。自社の業種や相談内容に合った経験があるかを確認することが大切です。
▼税理士のアドバイス
依頼先を選ぶ際は、事務所の規模や料金だけで判断せず、自社の課題に対応できるかを確認しましょう。会社設立直後なら経理体制づくり、事業拡大期なら月次決算や資金繰りなど、必要な支援は変わります。面談では、担当者、質問への回答方法、面談頻度、使用する会計ソフトを確認してください。税金の説明が理解しやすく、判断の理由まで共有してもらえるかも、継続して相談するうえで大切なポイントです。
- 税理士は、税法に基づいて取引や財産の内容を確認し、税金の計算や申告について専門的な判断を行います。同じ支出でも、事業との関係や契約内容によって取り扱いが異なるため、領収書の金額だけでなく、取引の実態を把握することが重要です。
- 会計ソフトを使えば帳簿作成の負担は軽くなりますが、入力候補が税務上も正しいとは限りません。経費の計上時期や消費税の区分などを確認し、必要に応じて修正することも税理士の役割です。自計化を進める企業にとっても、判断を支える存在になります。
- 税金と社会保険は、給与や役員報酬を考える場面で関わり合います。ただし、それぞれ根拠となる制度や計算方法は異なります。税理士は税務への影響を確認し、社会保険の加入判定や届出などは社会保険労務士等に確認することで、全体を整理しやすくなります。
▼税理士のアドバイス
会社設立や役員報酬の設定、大きな設備投資などは、実行前に相談することが大切です。手続きや判断の時期によっては、後から希望する税務上の取り扱いを選べない場合があります。税金の軽減額だけを見るのではなく、支出額や手元資金、社会保険料を含む継続的な負担まで確認しましょう。契約書や見積書、資金計画をそろえて相談すると、事業の実情に即した検討を進めやすくなります。
- 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場で業務を行います。依頼者の希望や税務署の見解をそのまま受け入れるのではなく、事実と法令を確認し、専門家として判断することが求められます。この姿勢が、適正な申告を支える基本です。
- 依頼者の負担を適法に抑える方法を検討することは、税理士の大切な役割です。一方で、架空の経費を計上したり、売上を意図的に除外したりする行為には協力できません。使える制度の活用と不正な処理を区別し、根拠のある提案を行います。
- 税務調査では、帳簿や証拠資料、法令に基づいて依頼者の説明を支援します。税務署の指摘についても内容を検討し、必要な説明や主張を行います。税金を減らすことだけを目的とせず、正しい取り扱いを確認し、納税者の権利や利益を守ることが重要です。
▼税理士のアドバイス
税務上の判断に迷う取引は、有利な情報だけでなく、不安な点や不利になりそうな事情も含めて伝えてください。税理士には業務上知り得た秘密を守る義務があり、十分な情報共有が適切な助言の前提になります。過去の処理に誤りがあるかもしれない場合も、早めの確認が大切です。帳簿や契約書などを整理し、判断の根拠を記録しておくことで、将来の税務調査で説明しやすい状態を整えられます。
- 税理士法では、税理士の使命として、法令で定められた納税義務の適正な実現を図ることが示されています。これは、必要な税金を正しく計算し、申告や納付を適切に進められるよう支えることです。単に税額を小さくすることだけを意味するものではありません。
- 所得税や法人税などで採用される申告納税制度では、納税者が所得や税額を計算して申告します。税理士は、帳簿や証拠資料を確認し、申告内容の正確性を高めます。日々の取引を正しく記録することが、期限内に適切な申告を行うための出発点になります。
- 適正な納税には、税金の過少申告を防ぐだけでなく、適用できる控除や特例を確認し、納め過ぎを防ぐ視点も必要です。制度によっては事前の届出や期限内の手続きが求められるため、決算や申告の直前だけでなく、年間を通じて準備することが大切です。
▼税理士のアドバイス
決算の直前になってから納税資金を用意しようとすると、運転資金に影響する場合があります。毎月の業績を確認し、税金の概算額と納付時期を資金繰り表に反映しておきましょう。社会保険料など、税金とは別の支払いも含めて管理することが大切です。税理士との定期的な情報共有を通じて、届出の期限や必要資料を早めに確認し、正確な申告と無理のない資金準備を両立できる体制を整えてください。
- 税理士への依頼は、継続的に相談する顧問契約だけでなく、確定申告や相続税申告など、特定の業務を単発で依頼する方法もあります。必要な支援の範囲や相談頻度を整理し、事務所が対応できる契約形態と、自社に合った利用方法を確認しましょう。
- 料金を比較するときは、月額顧問料だけでなく、決算申告料や年末調整、税務調査への立会いなどの費用も確認します。記帳代行や給与計算を依頼する場合は、取引量や従業員数によって料金が変わることもあるため、年間の総額で検討することが大切です。
- 税理士に依頼しても、取引の事実や必要な資料を把握しているのは事業者自身です。領収書や請求書、契約書を整理し、入退社や報酬の変更なども早めに共有しましょう。税金と社会保険の担当者が異なる場合は、情報の受け渡し方法も決めておくと安心です。
▼税理士のアドバイス
契約前には、年間の業務内容と見積額を確認し、追加料金が発生する条件を書面で共有しておきましょう。契約後は、毎月の資料提出日と確認事項を決めておくと、経理や申告の準備を進めやすくなります。また、取引先の増加、従業員の採用、設備投資など、経営上の変化も早めに伝えることが大切です。税理士に任せる部分と社内で行う部分を明確にし、必要な情報が滞りなく集まる仕組みを整えてください。
■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行
当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
実際会計ソフトを導入された方のほとんどが、ソフトを導入して良かったとおっしゃっています。
定額減税と確定申告
令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。
- 定額減税の対象となる方
定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
(注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。 - 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
特別控除の額は、次の金額の合計額です。
ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
| 所得税 | 個人住民税 | |
| 本人分 | 3万円 | 1万円 |
| 同一生計配偶者又は扶養親族 | 1人につき3万円 | 1人につき1万円 |
詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。
特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。
- 給与所得者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。- 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
- 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
- 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
- 給与所得以外の所得があるとき
- 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
- 2か所以上から給与の支払を受けているとき
- 公的年金等の受給者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
(注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)- 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
(注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。(注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。
(注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。
(注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。
- 事業所得者等に係る特別控除
原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
(注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。
お問合せ・ご相談はこちらからどうぞ
045-869-0337
営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
