税金の申告をしなかった場合

税金の申告が必要なのに手続きをしなかった場合、本来の税金に加えて、加算税や延滞税が発生することがあります。また、所得の申告状況は、国民健康保険料の軽減などの社会保障や、金融機関への融資申込みにも関係します。「申告を忘れていた」「納税資金が足りない」という場合も、放置せずに対応することが大切です。この記事では、申告をしなかった場合の主な影響と、負担を抑えるために確認したいポイントを解説します。

加算税とは
  • 加算税とは、申告や納付の義務が適切に果たされなかった場合に、本来の税金に追加して課される税金です。申告義務があるのに期限までに申告しなかった場合は、原則として無申告加算税の対象になります。税率は申告の時期や税務調査の状況などによって異なります。
  • 令和5年分以降の所得税では、税務調査による決定を予知して期限後申告した場合などの無申告加算税は、納付税額の50万円までの部分が15%、50万円超300万円までの部分が20%、300万円超の部分が30%です。一定の場合には、さらに加重されます。
  • 売上を隠したり、架空の経費を計上したりするなど、隠蔽・仮装に基づく無申告では、無申告加算税に代えて原則40%の重加算税が課される場合があります。単なる申告忘れと同じ扱いではなく、不正行為の内容や過去の状況によって負担が重くなります。

加算税の種類・税率は、国税庁の制度説明に基づいています。

▼税理士のアドバイス
申告漏れに気付いたときは、まず対象となる年分と税目を整理し、売上・経費・控除に関する資料を集めましょう。所得税だけでなく、消費税などの申告も必要な場合があります。資料が不足していても放置せず、税理士に現状を伝えることが大切です。税務署から通知を受けている場合は、その内容や受領日も確認してください。申告時期によって加算税の扱いが変わるため、早期の対応が重要です。

延滞税とは
  • 延滞税とは、税金を期限までに納付しなかった場合に発生する、利息に相当する税金です。原則として、法定納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて計算されます。無申告加算税とは別の制度なので、両方の負担が生じることもあります。
  • 延滞税の割合は、計算対象となる年や期間によって異なります。令和8年中は、納期限までの期間と納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その後が年9.1%です。期限後申告では申告書の提出日が納期限となるため、期間の区分に注意が必要です。
  • 申告書を提出しただけでは、税金の納付まで完了したことにはなりません。期限後申告で納める税金は、原則として提出日に納付します。なお、延滞税は未納の本税を対象として計算されるもので、無申告加算税などの加算税に対して課されるものではありません。

延滞税の割合と納期限の扱いは、国税庁の公表資料に基づいています。

▼税理士のアドバイス
期限後申告では、申告書の作成と並行して、納付する金額と支払方法を確認しましょう。過年度の申告が複数ある場合は、年ごとの税額と延滞税を整理し、資金繰りへの影響を把握することが必要です。一括納付が難しいときは、申告自体を先延ばしにせず、税務署の徴収担当へ早めに相談してください。今後は月次決算などで税額の見込みを把握し、納税資金を計画的に確保することが再発防止につながります。

一定の納税者の有利
  • 一定の条件を満たす納税者には、無申告加算税の負担が軽くなる取扱いがあります。例えば、税務調査の事前通知前に自主的に期限後申告した場合、所得税の無申告加算税は原則5%です。調査後の申告より負担を抑えられるため、気付いた段階で対応することが大切です。
  • 法定申告期限から1か月以内に自主的に申告し、期限内申告の意思があったと認められる一定の要件をすべて満たすと、無申告加算税がかからない場合があります。税金の全額を所定の期限までに納付していることや、過去5年間の加算税・不適用の履歴なども条件です。
  • 災害や病気などの事情がある場合や、一括納付によって事業の継続・生活の維持が難しくなる場合は、納税の猶予や換価の猶予が認められることがあります。猶予が認められると、延滞税が軽減・免除される場合もありますが、申請や要件の確認が必要です。

自主申告による軽減・不適用や猶予は、それぞれ所定の要件を満たす場合に適用されます。

▼税理士のアドバイス
「早く申告すれば必ず加算税がなくなる」「納付できなければ自動的に猶予される」という理解は適切ではありません。申告日、調査の事前通知の有無、納付状況、過去の申告履歴などを確認して判断します。猶予を検討する場合も、資金繰り表や財産・収支に関する資料を準備することが重要です。制度ごとに申請期限や必要書類が異なるため、税理士と税務署に確認しながら、利用できる措置を整理しましょう。

金融機関の対応
  • 事業融資では、確定申告書や決算書が必要書類となることがあります。日本政策金融公庫でも、原則として直近2期分の申告書などを求めています。申告義務があるのに未申告の場合、必要な資料をそろえられず、融資申込みや審査に支障が生じる可能性があります。
  • 神奈川県信用保証協会では、税務申告義務などの法令上の手続きを怠っている場合、原則として保証の対象にならないとしています。信用保証付き融資を検討する事業者は、売上や利益だけでなく、申告手続きが適切に行われているかも確認する必要があります。
  • 創業直後で、まだ最初の申告期限を迎えていない場合は、申告義務を怠っている無申告とは区別されます。日本政策金融公庫でも、事業を始めて間もなく税務申告未了の場合は申告書の提出を不要としています。必要書類は事業の状況や申込先に確認しましょう。

申告書の提出要件と信用保証の利用条件は、各機関の公表資料に基づいています。

▼税理士のアドバイス
融資が必要になってから過年度の未申告に対応すると、資料の収集や決算整理に時間がかかり、希望する時期に資金を確保できないおそれがあります。まず申告状況を整理し、必要な手続きを進めましょう。そのうえで、納税による支出も含めた資金繰り表と返済計画を作成することが大切です。申告を済ませれば融資が保証されるわけではないため、最新の試算表や事業計画も準備し、金融機関と相談してください。

その他のポイント
  • 所得の申告は、税金だけでなく社会保障にも関係します。例えば、国民健康保険では、所得が不明だと低所得世帯向けの保険料軽減を判定できない場合があります。収入がない場合でも、住民税の申告や国民健康保険の収入申立書の提出が必要になることがあります。
  • 税金を納められないまま放置すると、督促を受け、さらに財産の差押えなどの滞納処分につながる場合があります。「支払うお金がないから申告もしない」という対応では問題が大きくなります。申告と納付を分けて考え、納付が難しい事情は税務署へ相談しましょう。
  • 再発防止には、申告期限の管理だけでなく、日頃の記帳と資料の保存が重要です。請求書、領収書、通帳、電子取引のデータなどを整理し、毎月の売上と経費を確認しましょう。会計ソフトの活用や記帳代行により、決算直前に作業が集中する状況を改善しやすくなります。

国民健康保険料の軽減と滞納時の取扱いは、横浜市・国税庁の公表資料に基づいています。

▼税理士のアドバイス
申告義務の有無は、収入の種類や金額、控除、法人・個人の別などによって判断が異なります。また、所得税の確定申告が不要でも、住民税や社会保障に関する所得の申告が必要な場合があります。国税の申告だけで手続きが完結すると考えず、自治体への確認も行いましょう。事業者は、顧問税理士との定期的な確認や月次報告を通じて、申告期限と納税資金を継続して管理することが大切です。

■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行

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定額減税と確定申告

令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。

  • 定額減税の対象となる方
    定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
    (注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。
  • 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
    特別控除の額は、次の金額の合計額です。
    ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
 所得税個人住民税
本人分3万円1万円
同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円1人につき1万円

詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。

●定額減税の実施方法

特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。

  1. 給与所得者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
    また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    1. 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
    2. 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
    3. 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
      • 給与所得以外の所得があるとき
      • 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
      • 2か所以上から給与の支払を受けているとき
  2. 公的年金等の受給者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    ※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
    (注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)
    1. 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
    2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
      (注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

      (注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。

      (注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。

      (注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。

  3. 事業所得者等に係る特別控除
    原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
    予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
    なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
    また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
    (注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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