会社経営では、経営者の病気・死亡、退職後の生活資金、取引先の倒産など、将来のリスクに備えることが重要です。保険や共済は企業を守る手段の一つですが、目的や税務上の取扱いを誤ると資金繰りに影響する場合もあります。加入前に必要性を整理しましょう。
- 起業直後の会社は、売上や資金繰りが安定していないことが多く、まずは事業継続に必要な最低限の保障を優先して検討することが大切です。
- 経営者に万一のことがあった場合、借入金の返済、従業員の給与、仕入代金の支払いなどに影響が出るため、会社の規模に応じた備えが必要です。
- 創業期は保険料の負担が資金繰りを圧迫する場合もあるため、会社経営に必要な保障額と毎月の固定費のバランスを確認することが重要です。
▼税理士のアドバイス
起業直後は、保険加入を急ぐ前に、借入金、固定費、役員報酬、生活費、手元資金を整理することが大切です。会社設立後の資金繰り表や月次決算を確認し、無理のない保険料かどうかを税理士と一緒に判断しましょう。
- 法人が支払う保険料は、契約内容、被保険者、保険金受取人、解約返戻金の有無などにより、損金算入できる金額や時期が異なる場合があります。国税庁も法人保険料の取扱いを契約内容ごとに示しています。
- 節税だけを目的に保険へ加入すると、解約返戻率、将来の課税、資金繰りへの影響を見落とす可能性があるため、慎重な検討が必要です。
- 令和元年7月8日以後の定期保険や第三分野保険については、解約返戻率などに応じた取扱いが示されているため、加入前に税務処理の確認が必要です。
▼税理士のアドバイス
保険は「税金を減らすため」だけでなく、会社に必要な保障や退職金準備と合わせて考えることが重要です。損金処理できるかどうかは契約内容で変わるため、加入前に見積書や設計書を税理士へ共有し、決算申告への影響を確認しましょう。
- 中小企業では、経営者が営業、資金調達、採用、取引先対応を担っていることが多く、病気や死亡による事業停止リスクへの備えが重要です。
- 生命保険や医療保険は、経営者不在時の運転資金、借入金返済、後継者への引継ぎ費用などを確保する目的で検討されることがあります。
- 都道府県民共済は、個人の病気や死亡への備えとして検討されることがありますが、法人契約ではなく個人の生活保障として位置づけを確認することが大切です。
▼税理士のアドバイス
経営者保障を考える際は、借入残高、役員報酬、会社の固定費、家族の生活費を分けて整理しましょう。法人契約の生命保険と、都道府県民共済など個人で備える保障は税務上の位置づけが異なるため、法人税、所得税、相続税の視点から総合的に確認することが大切です。
- 経営者の退職金準備として、生命保険や小規模企業共済を活用するケースがあります。退職時期や会社の利益計画と合わせた設計が必要です。
- 小規模企業共済は、小規模企業の個人事業主や会社等の役員が、退職後の生活資金などを準備するための制度とされています。
- 退職金は、支給額の妥当性、役員退職慰労金規程、株主総会議事録などの整備が重要であり、形式面の不足が税務上のリスクになる場合があります。
- 保険や共済を退職金原資として考える場合、解約時期、受取方法、課税関係、会社の資金繰りへの影響を事前に確認しておくことが大切です。
▼税理士のアドバイス
退職金対策は、加入時だけでなく出口戦略が重要です。小規模企業共済、生命保険、役員退職金のどれを活用するかにより税務上の扱いが異なる場合があります。決算状況、利益予測、役員在任期間を確認し、月次報告や決算申告と連動させて計画的に準備しましょう。
- 売掛金の回収不能は、黒字経営の企業でも資金繰りを悪化させる原因になります。主要取引先への依存度が高い会社は特に注意が必要です。
- 取引先の倒産に備える制度として、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)があります。取引先が倒産した場合、一定範囲で共済金の貸付けを受けられる制度です。
- 経営セーフティ共済は、掛金の税務上の取扱いにも特徴がありますが、解約時や再加入時の制限、資金繰りへの影響も含めて確認が必要です。
- 倒産リスクへの備えは、共済加入だけでなく、請求書発行、入金管理、売掛金の回収状況の確認を日常的に行うことが重要です。
▼税理士のアドバイス
経営セーフティ共済は、取引先倒産への備えとして検討しやすい制度ですが、加入目的を明確にすることが大切です。記帳代行や月次決算を通じて売掛金の未回収状況を早期に把握し、与信管理や資金繰り改善と合わせて活用を検討しましょう。
- 企業向け保険には、火災保険、賠償責任保険、労災上乗せ保険、サイバー保険などもあり、業種や事業規模によって必要性が異なります。
- 都道府県民共済、小規模企業共済、経営セーフティ共済は名称が似ていても、目的や加入対象、税務上の扱いが異なるため、混同しないことが大切です。
- 役員や従業員を対象とする保険は、福利厚生、給与課税、法人税上の損金処理に影響する場合があるため、契約内容の確認が必要です。
- 保険や共済は、会社の成長、借入金の増減、従業員数、事業内容の変化に応じて、保障内容や掛金を定期的に見直すことが大切です。
▼税理士のアドバイス
保険や共済は一度加入して終わりではなく、会社経営の状況に合わせて見直すことが重要です。会計ソフト導入支援や自計化支援により毎月の利益と資金繰りを把握し、顧問税理士と相談しながら、必要な保障と税務リスクを整理しましょう。
■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行
当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
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定額減税と確定申告
令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。
- 定額減税の対象となる方
定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
(注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。 - 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
特別控除の額は、次の金額の合計額です。
ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
| 所得税 | 個人住民税 | |
| 本人分 | 3万円 | 1万円 |
| 同一生計配偶者又は扶養親族 | 1人につき3万円 | 1人につき1万円 |
詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。
特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。
- 給与所得者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。- 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
- 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
- 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
- 給与所得以外の所得があるとき
- 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
- 2か所以上から給与の支払を受けているとき
- 公的年金等の受給者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
(注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)- 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
(注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。(注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。
(注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。
(注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。
- 事業所得者等に係る特別控除
原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
(注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。
お問合せ・ご相談はこちらからどうぞ
045-869-0337
営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
