会社経営では、経理や給与計算などの事務業務に多くの時間がかかることがあります。限られた人員で本業に集中するためには、アウトソーシングの活用も有効な選択肢です。この記事では、企業が外部委託を検討する際のメリット・デメリットや注意点をわかりやすく解説します。
- アウトソーシングとは、企業の業務の一部を外部の専門業者や専門家に委託することです。経理、給与計算、記帳代行、税務申告補助など、会社経営に関わる事務業務でも幅広く活用されています。
- 中小企業では、経営者や少人数の担当者が経理・総務・人事を兼務しているケースも多くあります。業務負担が大きくなると、本来注力すべき営業や経営判断に時間を使いにくくなる場合があります。
- アウトソーシングを活用すると、専門知識が必要な業務を外部に任せられるため、社内の負担軽減につながります。ただし、すべてを任せればよいわけではなく、委託範囲の整理が重要です。
▼税理士のアドバイス
アウトソーシングを検討する際は、まず社内でどの業務に時間がかかっているかを把握することが大切です。経理資料の整理、記帳代行、給与計算、月次決算など、外部委託に適した業務を見極めることで、会社経営の効率化につながります。
- 経理業務をアウトソーシングすると、日々の記帳や会計ソフトへの入力、領収書・請求書の整理などを専門家に任せやすくなります。経営者や担当者の作業時間を削減できる点が大きなメリットです。
- 会計処理は、勘定科目の選び方や消費税区分、売上・経費の計上時期など、判断に迷う場面があります。税理士や会計事務所に相談できる体制があると、処理ミスの予防につながる場合があります。
- 月次決算や月次報告を整えることで、会社の利益状況や資金繰りを早めに確認しやすくなります。数字をもとに経営判断ができるため、融資や資金調達を検討する際にも役立つことがあります。
▼税理士のアドバイス
経理業務の外部委託では、単に記帳を任せるだけでなく、毎月の数字を経営に活かせる体制づくりが重要です。月次決算や月次報告を行うことで、利益率、資金繰り、納税見込みを早期に把握し、決算前の対策を取りやすくなります。
- 経理業務を外部に任せる場合、資料の受け渡しや確認の流れを整えないと、処理が遅れることがあります。領収書や請求書の提出が遅いと、月次の数字をタイムリーに把握しにくくなります。
- 社内に経理ノウハウが蓄積されにくくなる点も注意が必要です。すべてを外部任せにすると、売上や経費の状況を社内で十分に理解できず、経営判断が遅れる場合があります。
- アウトソーシングには費用がかかります。会社の規模や取引量、依頼する業務範囲によって料金は変わるため、費用対効果を確認したうえで導入を検討することが大切です。
▼税理士のアドバイス
経理の外部委託では、社内と会計事務所の役割分担を明確にすることが重要です。資料提出の期限、確認担当者、会計ソフトの利用方法を決めておくと、処理の遅れや認識違いを防ぎやすくなります。自計化支援との併用も有効です。
- 給与計算は、基本給、残業代、社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税などを毎月正確に計算する必要があります。アウトソーシングにより、担当者の負担を減らしやすくなります。
- 従業員の入退社、扶養状況の変更、賞与支給、年末調整など、給与関連業務には確認事項が多くあります。外部の専門家に依頼することで、手続き漏れや計算ミスを抑えられる場合があります。
- 給与計算を外部委託すると、経営者や担当者が給与情報を社内で扱う範囲を限定しやすくなります。個人情報や給与情報の管理面でも、運用ルールを整えるきっかけになります。
▼税理士のアドバイス
給与計算は毎月発生するため、ミスがあると従業員との信頼関係や資金繰りに影響する場合があります。勤怠データの締め日、給与支給日、控除項目の確認方法を明確にし、税理士や社会保険労務士と連携できる体制を整えることが大切です。
- 給与計算を外部に依頼する場合、勤怠情報や入退社情報を期限までに正確に共有する必要があります。情報提供が遅れると、給与明細の作成や支給額の確認が遅れる可能性があります。
- 外部委託先との連携が不十分だと、残業時間、手当、控除項目などの認識にずれが生じることがあります。給与計算は従業員に直接関わるため、確認体制を整える必要があります。
- 給与計算業務を委託することで、社内担当者が制度や計算内容を理解しにくくなる場合があります。最低限の確認ポイントを社内で把握しておくことが、トラブル予防につながります。
▼税理士のアドバイス
給与計算のアウトソーシングでは、勤怠管理と給与計算の流れを分けて考えることが大切です。残業代や各種手当のルール、社会保険料や住民税の変更時期を確認し、毎月のチェック項目を社内に残しておくと、誤りの早期発見につながります。
- 企業では、経理や給与計算以外にも、決算申告、法人税・消費税・地方税の申告、法定調書、償却資産税申告などを外部に依頼することがあります。専門性が高い業務ほど確認が重要です。
- 会社設立時には、税務署等への届出、会計ソフト導入、役員報酬の設定、消費税の取扱いなど、初期段階で検討すべき事項があります。提携司法書士による登記業務と併せて進める場合もあります。
- 税務調査への対応、融資・資金調達の相談、相続税・贈与税申告なども、専門家へ相談されることが多い業務です。内容によって必要資料や判断基準が異なるため、早めの準備が大切です。
▼税理士のアドバイス
アウトソーシングは、会社経営の負担を軽くする一方で、任せる業務と社内で管理すべき業務の線引きが重要です。顧問税理士を活用し、記帳代行、決算申告、税務相談、資金調達支援を一体的に考えることで、経営管理の質を高めやすくなります。
■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行
当事務所では、会計ソフトの導入支援を行っています。
会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
実際会計ソフトを導入された方のほとんどが、ソフトを導入して良かったとおっしゃっています。
定額減税と確定申告
令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。
- 定額減税の対象となる方
定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
(注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。 - 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
特別控除の額は、次の金額の合計額です。
ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
| 所得税 | 個人住民税 | |
| 本人分 | 3万円 | 1万円 |
| 同一生計配偶者又は扶養親族 | 1人につき3万円 | 1人につき1万円 |
詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。
特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。
- 給与所得者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。- 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
- 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
- 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
- 給与所得以外の所得があるとき
- 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
- 2か所以上から給与の支払を受けているとき
- 公的年金等の受給者に係る特別控除
令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
(注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)- 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
(注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。(注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。
(注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。
(注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。
- 事業所得者等に係る特別控除
原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
(注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。
お問合せ・ご相談はこちらからどうぞ
045-869-0337
営業時間 : 9:30〜18:00《土日祝休日》
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。
