会社に掛かる税金とは

起業して会社を経営する際には、売上や経費だけでなく、法人に掛かる税金の仕組みを理解しておくことが大切です。会社の所得に応じて納める税金もあれば、赤字でも負担が生じる税金や、従業員の給与から預かって納める税金もあります。種類ごとの違いを把握しておけば、納税資金の準備や経理処理を進めやすくなります。この記事では、起業・会社経営で押さえておきたい主な税金と、実務上の注意点をわかりやすく解説します。

法人税
  • 法人税は、会社の各事業年度の所得に対して掛かる国税です。売上そのものに課税されるのではなく、税務上の収益である「益金」から、税務上の費用である「損金」を差し引いて所得を求めます。決算書の利益と課税対象の所得は、必ずしも一致しません。
  • 法人税の税率は、会社の資本金や所得金額、株主構成などによって異なります。一定の中小法人では、年800万円以下の所得部分に軽減税率が適用されますが、対象外となる場合もあります。自社に適用される税率と制度の要件を確認することが必要です。
  • 法人税の確定申告と納付は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に行います。また、法人税とは別に、法人税額を基礎として計算する地方法人税もあります。名称に「地方」と付いていますが、地方法人税は税務署に申告する国税です。

▼税理士のアドバイス
会計上の費用でも、役員給与や交際費などは税務上の取扱いが異なるため、利益に一定の税率を掛けるだけでは正しい税額を把握できません。決算直前に慌てないよう、月次決算で利益と税務調整の見込みを確認し、納税額を試算しておきましょう。会計ソフトの数字だけで判断せず、顧問税理士と定期的に確認することで、申告漏れを防ぎながら、納税後の運転資金も確保しやすくなります。

住民税
  • 法人住民税は、会社の事務所や事業所がある地方自治体に納める税金です。横浜市に事務所を置く会社では、通常、神奈川県に納める法人県民税と、横浜市に納める法人市民税があります。国に納める法人税とは申告先が異なるため、それぞれの手続が必要です。
  • 法人住民税は、法人税額を基礎として計算する「法人税割」と、会社の規模などに応じて負担する「均等割」で構成されます。均等割は資本金等の額や従業員数などによって区分され、事務所を設けていた月数も関係します。設立初年度も確認が必要です。
  • 赤字決算で法人税額が生じない会社でも、原則として法人住民税の均等割は掛かります。複数の自治体に事務所や事業所を置く場合は、所在地ごとの申告や税額の配分が必要になることもあります。拠点を増やす際には、住民税の負担も見込んでおきましょう。

▼税理士のアドバイス
創業期は利益が出るまで時間が掛かる場合がありますが、赤字なら税金がすべてなくなるわけではありません。法人住民税の均等割を、家賃や通信費などと同じく年間の支出計画に組み込んでおくことが大切です。事務所の移転や支店の開設、増資、従業員数の変化によって確認事項も変わります。自治体への異動届と申告の準備を、登記や社内手続と併せて進めましょう。

事業税
  • 法人事業税は、会社が事業を行うことに対して、事務所などがある都道府県に納める地方税です。一般的な中小法人では所得を基礎として計算しますが、業種や会社の規模によって計算方法が異なります。法人税と名称は似ていますが、別の税金として扱います。
  • 法人事業税には、所得に応じた課税のほか、一定の法人を対象に付加価値や資本金等を基礎として計算する外形標準課税があります。対象となる会社では、所得が赤字でも税負担が生じる場合があります。資本金だけでなく、資本関係なども含めた確認が必要です。
  • 法人事業税の納税義務がある会社は、特別法人事業税も併せて確認します。特別法人事業税は国税ですが、法人事業税と一緒に都道府県へ申告・納付します。標準税率による法人事業税の所得割額や収入割額を基礎として計算されるため、区別して把握しましょう。

▼税理士のアドバイス
会社の利益に対する税負担を考える際は、法人税だけでなく、法人住民税や法人事業税、特別法人事業税まで含めて試算することが大切です。また、事業税は法人税とは損金算入の取扱いが異なり、計上する時期にも注意が必要です。増資や減資、グループ会社との資本関係の変更を予定している場合は、実施前に課税方式や翌期以降の負担への影響を確認しておきましょう。

消費税
  • 消費税は、国内で行う商品の販売やサービスの提供などに関係する税金です。一般課税では、原則として売上げに係る消費税額から、仕入れや経費に係る控除対象の消費税額を差し引いて納付額を計算します。法人税とは計算の仕組みが異なり、赤字でも納税が生じます。
  • 消費税の納税義務は、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定します。ただし、設立時などの資本金や特定期間の課税売上高等によっても取扱いが変わります。設立したばかりの会社だから必ず免税になる、とは限りません。
  • インボイス発行事業者として登録した会社は、基準期間の課税売上高にかかわらず消費税の納税義務が生じます。仕入税額控除には、原則として一定の帳簿やインボイスの保存が必要です。取引先への請求書の発行と、受け取る証憑の管理を併せて整えましょう。

▼税理士のアドバイス
消費税の納付額は、利益の額だけでは判断できません。日々の売上代金をすべて運転資金として使ってしまうと、申告時に資金が不足するおそれがあります。月次の経理処理と併せて納付見込額を確認し、専用口座などで資金を管理する方法も有効です。簡易課税などの制度選択は、業種や設備投資の予定、届出期限によって判断が変わるため、適用前に税理士と比較検討しましょう。

源泉所得税
  • 源泉所得税は、会社が役員や従業員に給与などを支払う際に、所得税等を差し引いて国へ納める仕組みです。会社自身の所得に掛かる法人税とは性質が異なります。従業員がいない会社でも、社長に役員報酬を支払う場合には源泉徴収の確認が必要になります。
  • 源泉徴収は給与や賞与だけでなく、個人の税理士や弁護士への報酬など、一定の支払いも対象になります。外注費であれば一律に対象となるわけではなく、報酬の内容や支払先によって判断します。契約書や請求書の内容を確認し、支払前に処理を決めましょう。
  • 源泉所得税等の納付期限は、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日です。給与の支給人員が常時10人未満で、納期の特例の承認を受けた場合は、給与や一定の報酬に係る税額を、7月10日と翌年1月20日にまとめて納付できます。

▼税理士のアドバイス
源泉徴収した税金は、従業員などから預かっているお金として管理する必要があります。給与計算から納付までの担当者と確認方法を決め、納付漏れを防ぎましょう。納期の特例を利用する場合も、毎月の預り金残高を確認し、半年分の資金を確保しておくことが大切です。年末調整や法定調書の作成ともつながるため、給与計算ソフトの設定や扶養に関する申告書も定期的に見直しましょう。

個人と同様な税金
  • 会社が土地や建物を所有している場合は、個人と同様に固定資産税が掛かり、所在地などによって都市計画税も関係します。また、事業用の機械や備品などには償却資産に対する固定資産税が掛かる場合があります。所有資産に応じた負担を確認しましょう。
  • 営業車などを会社で所有している場合は、自動車税種別割や軽自動車税種別割、自動車重量税などが関係します。購入時の代金だけでなく、毎年の税金や車検時の支出まで含めて予算を組むことが大切です。車種や用途、環境性能などによって税額や取扱いが変わります。
  • 紙で作成する契約書や領収書などには、記載内容や金額に応じて印紙税が掛かる場合があります。また、不動産を取得した際の不動産取得税や、会社設立・不動産登記などの際の登録免許税も確認が必要です。日常の取引以外の場面でも税金が発生します。

▼税理士のアドバイス
設備や車両、不動産を購入する際は、購入代金と関連する税金を合わせて資金計画を立てましょう。特に償却資産の申告は法人税の決算申告とは別の手続で、原則として毎年1月1日時点の所有状況を1月31日までに申告します。法人税上で全額を損金にした資産でも申告対象になる場合があるため、購入・廃棄・売却の記録を固定資産台帳に反映し、漏れなく確認することが大切です。

その他のポイント
  • 会社の税金は、決算後に一度納めれば終わるとは限りません。前期の税額などによって中間申告・納付が必要となるほか、給与の支払いや資産の保有に伴う納税もあります。税目ごとに年間予定を整理し、売上の入金や借入金返済と併せて資金繰りを管理しましょう。
  • 納めた税金が、すべて法人税の計算上の損金になるわけではありません。法人税や地方法人税、法人住民税の本税などは損金に算入できず、法人事業税などとは取扱いが異なります。納付書の税目を確認し、租税公課などの勘定科目と税務処理を適切に整理しましょう。
  • 2026年4月1日以後に開始する事業年度から、防衛特別法人税が適用されます。原則として、一定の調整をした法人税額から年500万円を控除した額に4%を掛けて計算します。税額がゼロでも申告が必要となるため、適用開始時期と手続を確認しましょう。

▼税理士のアドバイス
起業・会社経営では、税額を抑えることだけでなく、期限内に正しく申告・納付できる体制を整えることが重要です。会計ソフトで日々の取引を記録し、月次報告で利益と現預金の動きを確認しておきましょう。申告期限の延長が認められても、納付期限まで同じように延びるとは限りません。会社設立時の届出や毎年の制度改正も含め、顧問税理士と年間の税務予定を共有しておくと安心です。

■参考書籍■
【独立希望者必見】面白いほど理解できる(税理士が教える)起業・会社経営Q&A
酒井敏行/松本有史/箕輪俊之/岩木功 箸
TAC株式会社出版事業部 発行

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定額減税と確定申告

令和6年度税制改正に伴い、令和6年分所得税について定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。
定額減税の概要は以下のとおりです。
詳しくは、国税庁の定額減税についてのページをご覧ください。

  • 定額減税の対象となる方
    定額減税の対象者は、令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である方(給与収入のみの方の場合、給与収入が2,000万円以下(注)である方)です。
    (注) 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下となります。
  • 定額減税額(令和6年分特別税額控除の額)
    特別控除の額は、次の金額の合計額です。
    ただし、その合計額がその人の所得税額を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。
 所得税個人住民税
本人分3万円1万円
同一生計配偶者又は扶養親族1人につき3万円1人につき1万円

詳しくは、国税庁の定額減税と確定申告ページをご覧ください。

●定額減税の実施方法

特別控除は、所得の種類によって、次の方法により実施されます。

  1. 給与所得者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に支払われる給与等(賞与を含むものとし、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している勤務先から支払われる給与等に限ります。)につき源泉徴収をされるべき所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」といいます。)の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる給与等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合は、年末調整により調整することとなります。
    また、次の1~3に該当する場合などは、令和6年分の確定申告において最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    1. 主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円を超えるとき
    2. 年の途中で退職し、給与等に係る源泉徴収について特別控除の額の控除が行われていない(又は控除しきれない額がある)とき
    3. 年末調整において、所得税額から特別控除の額を控除した際、控除しきれない額が生じる場合(特別控除の額が所得税額を上回る場合)において、次に該当するとき
      • 給与所得以外の所得があるとき
      • 退職所得に係る源泉徴収税額があるとき
      • 2か所以上から給与の支払を受けているとき
  2. 公的年金等の受給者に係る特別控除
    令和6年6月1日以後最初に厚生労働大臣等から支払われる公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除きます。)につき源泉徴収をされるべき所得税等の額から特別控除の額に相当する金額が控除されます。これにより控除をしてもなお控除しきれない部分の金額は、以後、令和6年中に支払われる公的年金等につき源泉徴収されるべき所得税等の額から順次控除されます。
    なお、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」に記載した事項の異動等により、特別控除の額が異動する場合(例えば、令和6年中に扶養親族の人数が増加した場合など)は、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)において、最終的な特別控除の額を計算の上、納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することとなります。
    ※給与と公的年金等に係る両方の所得を有する方は、還付申告となる場合や年金所得者に係る申告不要制度(注)の適用がある場合で確定申告をしないときを除き、確定申告において、所得税額から最終的な特別控除の額や源泉徴収税額等を差し引いて納付すべき又は還付される所得税の金額を精算することになります。
    (注)年金所得者の申告不要制度…次のいずれにも該当する場合に、計算の結果、納税額がある場合でも、所得税等の確定申告は必要ありません。(注1・2)
    1. 公的年金等の収入金額が400万円以下(注3・4)
    2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
      (注1)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、住民税の申告が必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口にお尋ねください。

      (注2)所得税等の確定申告が必要ない場合でも、一定の要件に該当する場合には、還付を受けるための申告(還付申告)を行うことで税金が還付されます。

      (注3)源泉徴収を要しない公的年金等の規定(所得税法第203条の7)の適用を受けるものを除きます。

      (注4)一定の外国年金が国外で支払われる場合などには、源泉徴収の対象となりません。

  3. 事業所得者等に係る特別控除
    原則として、令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に所得税の額から特別控除の額が控除されます。
    予定納税の対象となる方については、確定申告での控除を待たずに、令和6年6月以後に通知される、令和6年分の所得税に係る第1期分予定納税額(7月)(注)から本人分に係る特別控除の額に相当する金額が控除されます。
    なお、同一生計配偶者または扶養親族に係る特別控除の額に相当する金額については、予定納税額の減額申請の手続により特別控除の額を控除することができ、第1期分予定納税額から控除しきれなかった場合には、控除しきれない部分の金額を第2期分予定納税額(11月)から控除します。
    また、確定申告による精算に関する情報は、随時国税庁ホームページにて更新を行っていきます。
    (注)特別農業所得者(農業所得の金額に係る一定の要件を満たすものとして申告等をしている方)については、第2期分予定納税額(11月)となります。

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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

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