税務署の調査を知る②

●税務調査の実際の流れと対処方法

調査の連絡が入ってから終了するまでの通常の流れと対処の仕方は次のとおりです。

■調査まで

  1. 調査の連絡がある
    調査の連絡は、ほとんど電話で行われます。担当調査官から調査をする旨の電話が入ったら、税務署名、担当者の名前、所 属部門、内 線番号などを控えましょう。
  2. 日程の調整をする
    調査官の指定した日に用事があるなど都合が悪いときは、遠慮なく申し出て、日程の調整をしてもらいましょう。
  3. 調査の準備をする
    調査がスムーズに進むようにするため、次の書類を年度別に分類し段ボール箱に入れておきましょう。通常、過去3 期分の書類が必要となります。

■調査に必要な主な書類

  • 会社案内( バンフレット)、組織図、登記簿謄本など会社の概要がわかる書類
  • 総勘定元帳、仕訳伝票などの会計帳簿
  • 請求書、領収書など支払に関する書類
  • 請求書の控え、領収書の控えなど
  • 見積書、納品書、契約書など取引に関係する書類
  • 預金通帳、銀行振込書、借入返済表など銀行との取引に関する書類
  • 給料明細の控え、扶養控除申告書、1人別源泉徴収簿、履歴書など人件費に関係する書類
  • 株主総会の議事録、取締役会の議事録(特に役員報酬の金額を決議した議事録)
●調査日の流れ【1日目】
  1. 10:00
    通常の税務調査は、朝10時からタ方4時頃まで行われます。税務署の調査官は、会社の近くで時間調整をしているのではないでしょうか。早すきず、遅すぎず、ちょうど10.00に会社にやってきます。
    身分証明書を呈示しますので、一応確認しておきましょう。挨拶が終わったらいよいよ税務調査がスタートします。
  2. 10:00~11:00
    調査官は、会社設立の経緯、商売の状況など、あまり税金と関係なさそうなことを尋ねてきます。税務調査は、雑談のようなやりとりからスタートします。会社案内や会社の組織図を求められることもあります。帳簿を見る前に会社の概要を把握しておこうということだと思います。
  3. 11:00~12:00
    雑談が一段落すると、「そろそろ帳簿を見せていただきましょうか」ということになり、本格的な調査にはいります。最初に調査する項目は、売上と仕入です。帳簿の売上と仕入の金額を
    1. 請求書
    2. 納品書
    3. 見積書
    4. 契約書

    というように、取引のもととなった書類と突合して行きます。張簿に計上されていない売上はないか、架空の仕入はないか、翌期に繰り延べている売上はないかなどについて確認をします。

  4. 12:00~13:00
    20年くらい前は、12:00になると調査官と社長は一緒に食事をしたものですが、今は一切そのようなことはありません。国家公務員倫理法により、一緒にとってはいけないことになったそうです。調査官が「食事に出かけてきます」と切り出したら、素直に受け止めてお昼に行ってもらいましょう。
  5. 13:00~16:00
    売上と仕入についての調査が継続します。
  6. 16:00
    16:00になると調査官は帰り支度をはじめます。調査官は署に戻ると上司(統括官といいます)に今日1日の調査内容を報告するそうです。
●調査日の流れ【2日目】
  1. 10:00
    調査官は、1日目と同様に10時丁度に会社にやってきます。
  2. 10:00~12:00
    売上と仕入の次の調査項目は人件費です。給与明細書の控え1人別源泉徴収簿、扶養控除申告書の呈示が求められます。タイムカード、出勤簿、履歴書などの呈示を求められることもあります。源泉徴収簿の税額に誤りがないか、幽霊社員はいないか、家族に支払った給料の金額は適正であるかなどについて調査を行います。
  3. 12:00~13:00
    調査官はお昼になると食事に行きます。(1日目と同じ)
  4. 13:00~15:00
    人件費の次は諸経費の調査にはいります。帳簿の内容と領収書、請求書を突合して、科目や金額に誤りがないかチェックしていきます。会議費や福利厚生費などの科目に交際費課税の対象となるものがないか、私的な費用が混入していないか、資産計上すべき支出が消耗品費に計上されていないかなどを調査します。
  5. 15:00~16:00
    15:00になると、2日間の調査結果について説明があります。ただし、これはとりあえずの調査結果であり、結論ではないことに注意して下さい。○○について調べてほしいというような宿題がでる場合もあります。調査結果に納得いかない場合は、意見を述べることももちろんできます。ほとんどの場合、会社の調査はこれで終了します。調査官は署に戻って上司に報告し、今後の進め方を検討します。
●調査終了まで
  1. 裏付け調査をする
    調査官は会社で収集した情報について、裏付け調査を行います。例えばあやしいとにらんだ取引先(領収書に市販の様式を使用している、印鑑が三文判である、etcについては、その取引先が実在しているか、申告状況などから確認します。あやしいとにらんだ取引(100万円ぼっきりの取引、現金による支払い、etc)については、相手先に、帳簿を確認する(反面調査といいます)こともあります。
  2. 調査結果をまとめる
    裏付けの調査は早ければ1週間、遅くとも1ヶ月程度で終了します。もし1ヶ月たっても調査結果の連絡がないようなら、調査官に進行状況を問い合わせしてみるとよいでしょう。調査中というのは、あまり気分がよくないでしようが、他の調査に忙殺されて、後回しにされていることもあります。
  3. 修正申告をする
    週去の申告内容を訂正する方法には、税務署が職権で強制的に訂正する「更正処分」と会社が誤りを自ら認め、申告を出し直す「修正申告」の方法があります。
    税務署の通常調査の場合、特に指摘事項に争いがない限り修正申告で訂正するのが通例になっています。
    修正申告書を提出すると、税務調査は終了します。

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インボイス制度(適格請求書等保存方式)2023年10月1日開始

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。

  • 適格請求書(インボイス)とは
    売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
    具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
  • インボイス制度とは
    <売手側>
     売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。
    <買手側>
     買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
    ※買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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