社会保険の届出

社会保険の仕組みを理解する

社会保険には、主にサラリーマンを対象にした「健康保険・厚生年金保険」という制度と自営業の方を対象とした「国民健康保険・国民年金保険」という制度があります。
現在、会社に勤めている方は、「健康保険・厚生年金保険」に加入され、すでに起業の準備のために会社を辞めた方、あるいは個人で事業を行っている方は、「国民健康保険・国民年金保険」に加入されていることと思います。
それでは、起業のために会社を設立したあと、皆さんはどちらの社会保険制度に加入するのでしようか。答えは「健康保険・厚生年金保険」ということになります。皆さんの会社は「健康保険・厚生年金保険」の適用事業所となり、起業家の皆さんは会社から役員報酬をもらうサラリーマンという立場になるからです。
※社会保険の制度は頻繁に改正が行なわれています。最新の情報をHPなどでご確認ください。

すべてのは 社会保険に加入する飃 がある

「健康保険・厚生年金保険」に加入が義務づけられている適用事業所についての規定は以下のようになっています。

(1)強制適用事業所
厚生年金保険の適用事業所となるのは、株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)です。また、従業員が常時5人以上いる個人の事業所についても、農林漁業、サービス業などの場合を除いて厚生年金保険の適用事業所となります。

(2)任意適用事業所
上記(1)の適用事業所以外の事業所であっても、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となることができます。

法人に加人が義務づけられているにも関わらず、少し前まで、「健康保険、厚生年金保険」の適用事業所にならない会社があり、その会社に勤めている人が「国民健康保険、国民年金保険」に加入しているケースがたくさんありました。
「健康保険、厚生年金保険」に加人すると社会保険料の約50%を負担 しなければならないので、その負担をきらって社会保険に加入しない会社があったのです。実際、社会保険の負担は下記の表の通り大変重いものです。
会社を設立された起業家の皆さんの中には、「まだ事業の見通しもたたないので、従業員を雇わず俺1人でやっていくから、しばらくは国民年金保険、国民健康保険でいい…」。このように思われる方もいらっしゃるでしょう。
最近では社会保険庁が法律に従わないで未加入の会社を強制的に加入させ、社会保険料を2年間遡って追徴するという事態になっています。

社員の年収社会保険料

300万円

43万円
500万円72万円
800万円115万円
1000万円144万円

社会保険に加入する人の範囲を理解しよう

会社で働いている役員(社長を含む)と従業員は全員、社会保険に加入しなければなりません。本人が「入りたくない」と言っても、加入の義務があることに注意してください。またパートタイマーやアルバイトについても注意してください。

(1)被保険者
厚生年金保険に加入している会社、工場、商店、船舶などの適用事業所に常時使用される70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。
「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることとなります。

(2)パートタイマー・アルバイト等
パートタイマー・アルバイト等でも事業所と常用的使用関係にある場合は、被保険者となります。1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上である方も対象です。
また、1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満、1カ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満、またはその両方の場合で、次の5要件を全て満たす方は、被保険者になります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上あること
  2. 雇用期間が1年以上見込まれること
  3. 賃金の月額が8.8万円以上であること
  4. 学生でないこと
  5. 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めていること(国、地方公共団体に属する全ての適用事業所を含む)

平成28年10月1日から、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準が、1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上と明確になりました。

社会保険に加入する手続きをしよう

厚生年金の窓口は、会社の本店所在地を管轄する年金事務所(日本年金機構)となります。
また、健康保険の窓口は、全国健康保険協会(協会けんほ)になります。
強制適用になった事業所は、「新規適用届」と「被保険者資格取得届」を提出する必要があります。「被保険者資格取得届」は、所轄の日本年金機構、あるいは協会けんぽのホームページからダウンロードして入手することができます。
所定事項を記入し、基礎年金番号通知書などの必要書類 を添えて、強制適用になった日から5日以内に提出しましょう。
日本年金機構、協会けんぽの内容審査に通ると、「被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書」が交付され、加入手続きは完了となります。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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