●経理処理のポイント(給料などから天引きする税金)
会社は、次に掲げる費用を支払うとき、所定の方法により計算した所得税を支払金額から天引きし、税務署に納めなければなりません。
- 従業員などに給料や賞与を支払うとき
- 税理士やデザイナーなどに報酬を支払うとき
- 配当金を支払うとき
- 非居住者(外国人など)に対して不動産賃借料などを支払うとき
支払に際して徴収した所得税は、徴収した月の翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。ただし、納期の特例についての所定の手続きをしている会社は、給料や賞与、税理士報酬、司法書士報酬などの徴収額について、納期限を半年に一度に延ばすことが認められています。
▼源泉徴収した税金の納期限
源泉所得税は会社が負担する税金ではなく、従業員や税理士などから会社が一時的に預かり、税務署に納付する税金であることから、預り金の勘定科目を使って次のように経理処理をします。Aさん(社長)の給料を例に仕訳を見てみましょう。
▼給料を支払った時
(借方)役員報酬 512,000 | (貸方)現金 419,420 |
(貸方)預り金 9,550 | |
以下省略 |
▼源泉税を支払った時
(借方)預り金 9,550 | (貸方)現金 9,550 |
●経理処理のホイント(源泉税の納付書の書き方)
給与・賞与・退職金、税理士や弁護士の報酬は、 「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書 (納付書)」を、その他の報酬は「報酬料金等の所得税徴収高計算書(納付書)」を使用して、税務署に納付します。
●税務署はここをチェックする
税金の申告や納付が遅れると延滞税、延滞金、過少申告加算税など、本来払わなくてもよい税金が課せられますので注意しましょう。さらにこれらの税金は、罰金的な性格を持っているので、法人税などの課税対象となります。(支払った延滞税などにさらに法人税などがかかるという意味です)
特に源泉所得税は、預り金としての性格をもつため、加算税の税率が高いので注意しましょう。うつかりミスで1日でも期限に遅れると、5%の不納付加算税が課せられます。税務署は源泉税の納付の状況を厳重にチェックしています。もし所定の期限に納付がない場合は、葉書等で照会したり、呼び出しをしたりして、納付されていない税金の額を調査します。このような税務署の調査にもとづき納付した源泉税には、10%の不納付加算税が課せられます。無駄な税金を払うことにならないようにするため、源泉税の納期限には充分注意しましょう。
●消費税の税区分
税金は原則として消費税が課税されません。税区分が「対象外」になっているか、消費税が自動計算されていないか確認するようにしましょう。
●こうすればもっと簡単に経理ができる
預金や売掛金などの場合と同様に、預り金の勘定科目に源泉所得税の補助科目を設定しましょう。源泉税の納付管理を確実に行うことができます。また租税公課や法人税等の勘定科目に税金の種類ごとの補助科目を設定しましょう。税目ごとの支払状況を補助元帳や補助科目集計表で簡単に確認できるようになります。
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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行
電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。
令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
- 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
そして - 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
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