商品を仕入れる・代金を支払う①

得意先へ販売する商品を購入するための代金(仕入)は、「仕入高」という助定科目で経理処理をします。仕入は売上をあげるために直接必要な費用(売上の原価) であることから、会計上、大変重要な費用項目であるとされています。売上の原価の経理処理は、会社の営む業種によって使用する勘定科目名が異なりますので、業種ごとに紹介します。

●経理処理のポイント(小売業・卸売業の場合)
仕入先から商品を仕入れるためにかかった費用は、「仕入高」または「商品仕入高」という勘定科目で経理処理をします。

  • 商品を仕入れたとき(現金仕入)
    現金で商品を仕入れた場合は、会計ソフトの仕訳伝票または現金出納帳の画面に次の仕訳を入力します。
借方貸方
仕入高10,000現金10,000
  • 商品を仕入れたとき(掛け仕入)
    仕入先から掛けで商品を仕入れた場合は、会計ソフトの仕訳伝票または買掛帳の画面に次の仕訳を入力します。
借方貸方
仕入高10,000買掛金10,000
  • 値引きや返品をしたとき
    仕入高を直接減額しないで、仕入高を減額する勘定科目である「仕人値引戻し高」を使って次のように経理処理をします。
借方貸方
買掛金10,000仕入れ値引戻し高10,000
  • 仕入れ割り戻しを受けたとき
    仕入先から仕入金額の割り戻し(リべートの支払い)を受けた場合は、「仕入割戻し高」の勘定科目を使って次のように経理処理をします。
借方貸方
買掛金10,000仕入れ値引戻し高10,000
  • 掛け仕入の代金を現金で支払ったとき
    (仕訳伝票、買掛帳、現金出納帳のいずれかに入力)
借方貸方
買掛金10,000現金10,000
  • 掛け仕入の代金を普通預金や小切手で支払ったとき
    (仕訳伝票、買掛帳、預金出納帳のいすれかに入力)
借方貸方
買掛金10,000普通預金または当座預金10,000

代金を振込で支払うとき、支払にかかる振込手数料を差し引いて支払う場合があります。請求金額と支払金額の差額(支払手数料の金額)は、仕入先が負担する費用として取り扱います。仕入先の請求金額(50万円)について、振込手数料(840円)を差し引いて振り込んだ場合の経理処理の方法を紹介します。

  • 仕入先へ振り込んだ金額の仕訳
借方貸方
買掛金499,160現金499,160
  • 銀行へ支払った振込手数料の仕訳
借方貸方
買掛金840現金840

銀行へ支払った振込手数料の金額を誤って「支払手数料」で計上してしまうと、買掛金勘定に支払手数料に相当する金額が残ってしまいます。仕入先が負担する振込手数科の金額は、必ず 「買掛金」勘定で経理処理するようにしましょう。

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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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