交通費や出張旅費を精算する

電車賃やバス代、タクシー代、航空運賃などの費用や出張にともなう宿泊代は、「旅費交通費」の勘定科目で経理処理をします。出張にかかる費用を区分したい場合は、近距離の交通費を 「交通費」の勘定科目で、遠距離の交通費を 「出張旅費」の勘定科目で経理処理をします。

●経理処理のポイント
電車賃やバス代などの交通費は、自動券売機などで支払を行うことから、領収書をもらうことができません。領収書のない支出は原則として費用処理をすることができませんが、このような交通費については、行き先や交通機関、移動の目的などを明示した交通費精算書を作成することにより、費用処理することができます。
交通費を精算するのが面倒なので、「月額5,000円」のように、一定の金額を渡し切りにするような精算方法では、税務署に給与として課税されてしまいますので、きちんと交通費精算書を作成してください。

●こうすればもっと簡単に経理ができる
会計ソフトに交通費を入力するとき、次のように交通費が発生する都度仕訳を起こしている会社があります。このようなやり方は、正しい経理処理の方法なのですが、交通費は日常的に発生するので、仕訳の件数が多くなり、会計ソフトの入力に大変な手間がかかってしまう一面があります。
「交通費精算書」を作成している場合には、精算日に合計金額で仕訳を計上しても差し支えありません。合計金額で仕訳を計上して、会計ソフトの入力にかかる時間を減らしましょう。従業員の人数が多い会社では、驚くほど会計ソフトの入力時間を節約することができます。

●消費税の税区分
日本国内の交通費は、原則として消費税が課税されます。消費税の申告が必要な会社は、会計ソフトに旅費交通費の仕訳を入力するとき、税区分が「課税仕入(10%)」になっているか、消費税が自動計算されているか確認するようにしましょう。
国際航空運賃や海外での交通費、宿泊代については、消費税が課税されません。税区分が「対象外」になっているか、消費税が自動計算されていないか確認するようにしましょう。

●税務署はここをチェックする
交通費のうち、得意先を接待するためにかかった交通費は、交際費課税の対象となります。具体的には、次のような交通費が交際費課税の対象となります。

  • 得意先を接待旅行に招待するためにかかった電車賃や宿泊代
  • 得意先とゴルフに行くためにかかった高速代やガソリン代、電車賃など
  • 得意先を飲食で接待したあとのタクシー代

税務署はそんな細かいことまでチェックしないだろう…と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、実際の税務調査では、飲食代やゴルフが行われた日付をもとに接待のためにかかった交通費を割り出すことが頻整に行われています。税務署の指摘を受けて修正申告をすると、過少申告加算税や延滞税など、本来払う必要のない税金を負担しなければなりません。交通費勘定に補助科目を設定するなどして、接待のためにかかった交通費を分類しておきましょう。

●節税のホイント
出張をすると、移動中の昼食代やコーヒー、お茶代など会社に請求できない出費が意外なほどかさんでしまいます。これらの費用を会社で負担すると、個人で負担すべき費用を会社が払った、として所得税の課税対象となってしまいます。
これらの出費を税金の課税対象としないで会社で負担できる方法があります。それは出張旅費規程を整備して、出張日数に応じた日当を支払う方法です。例えば、社長は8,000円、課長は4,000円、一般社員は3,000円というように支給する日当の金額を旅費規程に定めておくわけです。
この規程に基づいて支払われた日当は、会社の経費として認められることはもちろん、支給を受けた社長や従業員に所得税が課税されることはありません。ただしこのように取り扱われる日当の金額は「社会通念上相当な金額」とされていますので、1日あたり10万円というような日当は、所得税の課税対象となりますので注意してください。

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会計ソフトで入力なんて不安と思われる方もいらっしゃると思いますが当事務所でしっかりとサポートしますので安心してください。
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改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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