労働保険の届出

労働保険の仕組みを理解する

会社に勤めている方が、業務上の事由又は通勤によって、負傷したり病気になった場合には、治療にかかった費用を国に対して保険給付の請求をすることができます。この保険制度のことを労災保険といいます。病気や怪我の治療費は、健康保険や国民健康保険で負担してもらうと思われる方が多いと思いますが、業務上の事由又は通勤による負傷や病気の治療費は、健康保険や国民健康保険の給付対象とならず、労災保険の給付対象となりますので、ここで覚えておきましょう。
また会社に勤めている方が、失業した場合には、失業保険の給付を国に対して請求することができます。この保険制度のことを雇用保険といいます。会社勤めの経験のある方にとっては、お馴染みの制度だと思います。この労災保険と雇用保険を総称して労働保険といいます。

労働者を雇用したら労働保険に加入する義務がある

社長1人で運営 している会社は、労働保険の加入義務がありませんが、労働者(社員やアルバイト、パートさんなど)を雇用した場合は、労働保険の加入義務が生じます。
労災保険料の会社負担額は、給与・賞与などの賃金の総額に1000分の3を乗じた金額です。雇用保険料は、雇用保険の対象となる労働者の賃金総額に1000分の15.5を乗じた金額です。ただし、雇用保険料は、労働者が1000分の6を負担することになっているので、結局会社の負担額は、1000分の9.5ということになります。

業種の区分雇用保険料率企業の負担率従業員の負担率
一般事業0.9%0.6%0.3%
農林水産業、清酒製造業1.1%0.7%0.4%
建設事業1.2%0.8%0.4%
事業の種類労災保険率
林業6.0%
舗装工事業0.9%
食料品製造業0.6%
卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業0.3%

労働保険に加入する人の範囲を理解しよう

労働保険の対象となる人は、労働者(役員は除かれます)です。労災保険と雇用保険とでは、労働者の範囲が若干異なりますので、詳しく見てみましょう。

労災保険雇用保険
常用、日雇、バー ト、アルバイ トなど、名称及び雇用形態にかかわらず、賃金を受け取るものすべてが対象となる雇用される労働者は原則として対象となるが、臨時内職的に雇用されるパートタイマーなどについては対象とならない

(注)
パートタイマーのうち次の要件のすべてを満たしている者は、雇用保険の対象となりますので注意してください。

  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者
  • 1週問の所定労働時問が20時問以上であること
    ※平成23年4月1日以降の取り扱い

会社の労働保険の加入義務について整理をすると、とにかく人を雇ったら労災保険に加入する、社員や長期のパートタイマーなど (上記の注の条件を満たす者)を雇ったら雇用保険に加入する、ということになります。
平成17年11月からは、労災保険未加人の会社で労災事故が発生した場合、さかのぼって保険料が徴収されるほか、労災保険の給付金(労働者の治療費)の100%または40%が徴収されることになりましたので注意が必要です。
社会保険と同様に、労働者を雇用したら「労働保険」に加入する、労働保険の会社負担は会社経営上のコストとみる、このように考えるようにしましょう。

摘要労災保険雇用保険
役員××
社員
パート(長期)
パート(短期)×

労働保険に加入する手続きをしよう

社長だけで仕事をしている会社社会保険→要(社長)
労災保険→不要
雇用保険→不要
社長とパートタイマー(短期)で
仕事をしている会社
社会保険→要(社長)
労災保険→要(パート)
雇用保険→不要
社長と社員で仕事をしている会社社会保険→要(社長・社員)
労災保険→要(社員)
雇用保険→要(社員)

労災保険の窓口は、事業所所在地を所轄する労働基準監督署になります。一方、雇用保険の窓口は、事業所所在地を所轄する職業安定所(ハローワーク)になります。
会社が労働保険の適用事業所となったときは、まず「保険関係成立届」という書類を
労働基準監督署に提出します。次に 「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を職業安定所へ提出します。
書類の書き方、添付書類などは、各地の労働局のホームページに掲載されていますので参考にしてください。
神奈川労働局ホームページ

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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