書類の整理と保存④

申告書や定款のファイリングの仕方

経理に関係する書類には、今まで説明した請求書や領収書のほか、次のようなものがあります。いずれも大切な書類なので、「探しやすいよう」「紛失しないよう」にファイリングし大切に保管しましよう。

  • 税金に関係する書類
    各種の届出書申 請書や確定申告書、法定調書合計表、償却資産申告書など、税務署や県税事務所、市役所などに提出した書類の会社控え
  • 社会保険に関係する書類
    各種の届出書や算定基礎届、月額変更届など、社 会保険事務所に提出した書類の会社控え
  • 労働保険に関係する書類
    各種の届出書申 請書や労働保険概算・確定保険料申告書など、労働基準監督署や職業安定所に提出した書類の会社控え
  • 会社運営に関係する書類
    定款、登記事項証明書、株主名簿、取締役会や株主総会の議事録

それでは税金に関係する書類のファイリング方法について説明します。
まずは書類を収納するための「ファイルポックス」、書類の仕切りを作るための「インデックス」を準備してください。
準備ができたら「ファイルポックス」の見出しラベルに「税金関係書類」と記入します。 インデックスには「届出書・申請書」「令和3年度申告書等」「令和4年度申告書等」と記入しファイルに綴じ込みます。早速、税金に関係する書類を綴じ込んでいきましょう。
まずは「届出書 ・申請書」のインデックスの後ろに、会社設立届出書などの届出書や申請書を綴じ込みます。今後、新たな申請や届出のために届出書や申請書を提出した場合にも、その控えをここに綴じ込んでいくこととします。
次に「令和3年度申告書等」のインデックスの後ろに、令和3年度に提出した確定申告書、法定調書合計表、償却資産申告書などの税金に関係する書類を綴じ込みます。
令和4年度の書類については、「令和4年度申告書等」のインデックスの後に綴じ込むこととし、以後同じ要領で綴じ込んでいくこととします。
将来、ファイルポックスがいっばいになったら、もっとも古い年度の申告書等を別のファイルに移動します。「届出書・申請書」は移動しません。このファイルに綴じ込んでおきます。届出書・申請書などの書類は、その効力か将来にわた。ているので、いつでも探しやすい状態にしておきたいからです。
社会保険や労働保険に関係する書類については、税金に関係する書類と同じ要領で、ファイリングをします。
会社運営に関係する書類は、「定款・定款変更議事録」「株主名簿」「令和3年度議事録等」「令和4年度議事録等」のインデックスを作り、その区分に従って綴じ込んでいきます。
「定款・定款変更議事録」のところには、定款と定款変更を伴う株主総会の議事録を綴じ込みます。
「株主名簿」のところには、株主名簿、株主の異動にともなう取締役会や株主総会の議事録、株式の売買契約書などの関係書類を綴じ込みます。
「令和3年度議事録等」のところには、令和3年度におけるその他の取締役会や株主総会の議事録を綴じ込みます。なおファイルが将来いつばいになったら、最も古い年度の議事録等を移動します。「定款・定款変更議事録」「株主名簿」については、このファイルに残しておきます。

改正電子帳簿保存法は2022年1月に施行

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により、保存する時の方法について定めた法律です。

令和3年度税制改正では、電子帳簿保存法の大幅見直しが行われました。
事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直し等の要件緩和が実施されるだけでなく、令和4年1月1日以後、電子取引は電子による保存が義務化となりました。これは、事業規模に係わらず企業・個人事業主が対象となります。
対応すべき範囲は想像以上に広く、早急な対策が必要です。

2021年12月10日、令和4年度税制改正大綱において、2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法で「電子取引の取引情報に係る電磁的記録(PDFファイル等)」の出力書面による保存が認められないこととなっていた取り扱いを緩和する方針が示されました。
2023年(令和5年)12月31日までの2年間は、一定の要件下で引き続き電子取引を紙で保存することができるように経過措置を講ずるとのことです。
なお、一定の要件下とは、
  • 当該電子取引の取引情報を、電子帳簿保存法第7条が定める保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、やむを得ない事情があると認められること
    そして
  • 出力書面によって適切に保存していること(質問検査権に基づく書面の提示または提出の求めに応じられるようにしていること)
とされています。

参考:起業したらまっさきに読む経理の本(笠原清明著)
   株式会社インプレスコミュニケーションズ

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